久保幸江

久保 幸江（くぼ ゆきえ）に関する紹介

久保幸江は、1924年1月24日に台湾の屏東市に生まれ、日本の音楽シーンで独特の存在感を示した女性歌手です。本名は篠原幸江であり、彼女は本来の芸者経験はないものの、しばしば芸者風の歌手として活動していました。

幼少期からの歩み

久保は1942年、台湾の屏東高等女学校を卒業後に家族とシンガポールに移住します。当時のシンガポールは日本の占領下にあり、彼女の家族は軍関係者向けの料亭を営んでいました。久保はこの場所で流行歌を歌い、軍人たちの慰問活動にも参加していたとされています。

音楽キャリアの始まり

戦後の1946年に日本に引き揚げ、翌年日本コロムビア社が募集した新人歌手コンテストに応募。1500人の中から選ばれ、1948年に「千鳥なぜ啼く」でデビューを果たしましたのが、当初の反響は薄かったものの、次第にその歌声が注目を集めていきました。

ヒット曲の誕生

久保の音楽キャリアの転機となったのは、「トンコ節」の発売です。この曲は1949年に古賀政男によってリメイクされ、久保は楠木繁夫とのデュエットで歌いました。最初はあまり売れなかったものの、彼女の地道な歌唱活動により徐々に人気が高まり、1950年にはヒットを記録しました。この成功により、「初恋トンコ娘」という映画にも出演することになり、歌手としての地位を確固たるものにしていきます。

幅広い音楽スタイル

その後も「ヤットン節」や「パチンコ人生」、「旅は楽しいシュッポッポ」など、多数のヒット曲を生み出し、1952年のNHK紅白歌合戦にも出場しました。1955年には日本舞踊の名取になり、少しの間音楽界から離れるものの、1957年に「靖國の母」で再び活躍を start します。

復帰とさらなる挑戦

1960年にはブラジル公演を行い、その頃の録音をもとにしたLPも発売しましたが、結婚を機に再度音楽活動を一時休止しました。1970年代にはNHKのテレビ番組をきっかけに本格的に再起し、一時は医療ミスによって声帯を一部失うも、懸命なリハビリによって復帰しました。

教師活動とその後の生活

1977年にはマリモスレコードに加入し、アルバムのリリースも行いました。それ以降は神奈川県内で歌謡教室を開くなど、後進を育てることにも力を入れました。1998年にはデビュー50周年を迎え、新曲を発表するなど、現役の歌手として精力的に活動しましたが、2005年を最後に表舞台を退きました。

最晩年と死

その後、東京都内の老人施設に入所し、歌う機会も持ちながら静かな生活を送っていました。しかし、2010年9月7日、心不全により86歳で他界しました。久保幸江の死は、2012年になって初めて大々的に報じられました。

代表曲

• - 『千鳥なぜ啼く』(1948年)
• - 『おこさ節』(1948年)
• - 『トンコ節』(共唱：加藤雅夫・1950年)
• - 『ヤットン節』(1951年)
• - 『パチンコ人生』(1951年)
• - 『旅は楽しいシュッポッポ』(1952年)

久保幸江はその魅力的な歌声と独特な感性で、日本の音楽界に多大な影響を与えた歌手として、今なお多くのファンに愛されています。

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