久保瀬暁明

久保瀬暁明（くぼせ ぎょうめい、Gyomei Kubose、出生名：久保瀬マサオ、1905年 - 2000年3月29日）は、20世紀にアメリカで仏教を広める上で重要な役割を果たした日系アメリカ人の仏教指導者です。彼は1944年にシカゴ仏教会を創設し、その生涯を通じて仏教の教えを広めました。

久保瀬は、サンフランシスコで生まれましたが、青年期の大部分を日本で過ごしました。カリフォルニア大学バークレー校を卒業後、日本に戻り、浄土真宗の改革者である清沢満之の弟子、暁烏敏の指導を受けました。この経験は、彼の仏教観に大きな影響を与えました。

太平洋戦争中、日系人強制収容によりハートマウンテン移住センターに収容されるという困難な時期を過ごしましたが、1944年にシカゴに移り、シカゴ仏教会を設立しました。この教会は、彼の仏教思想を実践する場となりました。

久保瀬の仏教観は、特定の宗派に囚われないものでした。彼は、仏教は単なる共同体の伝統ではなく、個人の人生に深く組み込まれるべきであるという清沢満之の思想を継承しました。この考え方は、彼の教えの中心をなすものであり、広く北アメリカに影響を与えました。彼は講演旅行を通じてアメリカ各地を回り、多くの人々に仏教の教えを伝えました。

久保瀬は、シカゴ仏教会だけでなく、American Buddhist AssociationやシカゴのBuddhist Education Centreなど、さまざまな活動にも積極的に関与しました。これらの活動を通じて、彼は仏教の理解を深め、広めることに尽力しました。

彼の教えの特徴の一つは、二元論を否定し、万物は本来一つであるという思想です。彼は、エゴイズムが二元論を生み出す幻想であると説き、すべてのものが相互につながっていることを強調しました。また、仏教は個々人の経験であるべきであり、寺院に通い、経を唱えるだけでは十分ではないという考えを提唱しました。この経験は、内面から生じるものであり、具体的な実体を伴うものではないとしました。

久保瀬は、ブッダをソクラテスと同等の哲学者と捉え、仏教を哲学として捉えるべきだとしました。彼は、哲学が人々が自ら考えることを促すものであると指摘し、宗教的な伝統に頼ることもできるが、究極的には個々人が万物のつながりを理解し、正覚を得る必要があると説きました。

久保瀬の死後、1998年に後継者に指名されていた息子の久保瀬コーヨー(Koyo Kubose)が、彼の遺志を継ぎました。久保瀬暁明の教えは、今日でも多くの人々に影響を与え続けています。

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