久保 良英 (くぼ よしひで)
久保良英(
1883年4月22日 -
1942年11月12日)は、精神分析や
ゲシュタルト心理学の導入に大きく貢献した日本の
心理学者です。
佐賀県に生まれ、東京帝国大学の心理学科を卒業。さらにはアメリカのクラーク大学で留学し、1916年に博士号を取得しました。彼の博士論文は「Some Aspects of Recent Child Study」であり、この研究は彼の心理学における基盤を形成しました。
久保は、
1929年から広島文理科大学の教授として活動し、心理学の普及と教育への応用に尽力しました。彼は、ビネー式知能検査の標準化に貢献し、特に子供の心理に関する研究を数多く発表しました。彼の著書には、『憤怒及復讐の心理的研究』や『教育心理通俗講話』などがあり、これらは心理学の理解を広める重要な教材となりました。また、『児童の心理』や『女子教育学』などの著作もあり、教育心理学の重要性を訴えました。
また、久保の教授法や研究方法は教育界でも高く評価されました。彼は、教育と心理の関連性を深く掘り下げ、心理学を教育現場に生かす方法を探求しました。彼の副論文「幼児ノ言語ノ発達」の中で、幼児期の言語発達を心理学的に研究し、言語教育のあり方に新たな視点を提供しました。
彼の著作は多岐にわたり、1910年に出版された『憤怒及復讐の心理的研究』から始まり、
1942年の『智能査定法』に至るまで、長いキャリアの中で数多くの書籍や論文を執筆しました。心理学の発展を考える上で、彼の業績は非常に貴重なものであり、当時の
心理学者としての地位を確立しました。
久保はまた、翻訳にも取り組みました。1913年には『哲学概論』を和訳し、この書籍は哲学の視点から心理学にアプローチする重要な資料となりました。彼の研究は、教育現場や学術界での心理学に対する理解を深める助けとなり、今日に至るまでその影響は色褪せることがありません。
彼は
1942年に59歳で亡くなりますが、彼の専門領域での貢献は、多くの
心理学者や教育者によって今も受け継がれています。久保良英の業績は、日本の心理学の発展に寄与する重要な一要素として、これからも評価され続けるでしょう。