久原財閥

久原財閥の歴史とその影響

久原財閥は、久原房之助によって設立された企業グループであり、阪神財閥の一翼を担っていました。この財閥の中心となったのが、日立鉱山であり、久原房之助の経営手腕がここに色濃く反映されています。

鉱業の道のり

久原房之助は1872年に、藤田財閥を創始した藤田伝三郎の実兄、またその共同経営者であった久原庄三郎の子として生まれました。1889年に慶應義塾予科を卒業した後、貿易商の森村組に加わりましたが、ニューヨーク支店への転勤直前に退社。その後、藤田組に入社し、小坂鉱山に赴任。1900年にはその所長に就任し、数年後には父の遺志を継いで家督を相続しました。

1906年に赤沢銅山を契約し、これを「日立鉱山」と改名。近代的な技術を導入し、掘削方式を革新しました。1908年には製錬場の操業を始め、徐々にその生産量は増加していきました。

久原鉱業株式会社の設立

1912年、久原鉱業所は正式に久原鉱業株式会社に改組され、資本金は1千万円となりました。この法人は、鉱業、化学工業、機械製作、電気事業、農林業、そして他社との共同経営を目的としました。 房之助の手腕により、会社はすぐに業績を伸ばし始めました。

第一次大戦による経済の好況を受け、房之助は北海道や新潟などでの掘削を進め、成果を上げました。この時期には特に、秋田県の雄物川油田の開発にも成功しました。また、国際的にも資源調査を行い、アジア各地と連携を図りました。

政治与党との関係

房之助は1916年、アメリカとの合弁事業を構想し、また下松における大規模工業都市の計画も持ちかけています。この計画は大規模な土地開発を伴ったもので、当時としては非常に革新的でした。

1918年には第一次大戦が終了し、景気は不安定化しましたが、房之助は経営の方向転換を迫られました。1920年には東京証券取引所での大暴落が事業に直撃し、久原鉱業は苦境に立たされます。

新たな道へ

病気を経て、房之助は経営を義兄の鮎川義介に譲渡し、1928年に実業界からの引退を決意。彼は政治の世界へと進出し、衆議院議員として初当選を果たしました。これに伴いたち、久原鉱業株式会社は日本産業株式会社に改称され、その後、新日鉱ホールディングスにつながる道を歩みました。

このように、久原財閥は単なる企業グループではなく、日本の鉱業や政界にも大きな影響を与え続けた存在であったと言えます。その後も、日産コンツェルンとして発展を遂げる道筋を作ったことから、久原の視点は経済界における先見性を持っていました。

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