久留米電灯

久留米電灯株式会社の歴史

久留米電灯株式会社は、明治38年に設立され、約30年の間、福岡県久留米市を中心に電力事業を展開した日本の電力会社です。この会社は、明治後期から大正にかけて存在し、その後九州電力の中核を形成することになります。

設立の背景

久留米市が位置する福岡県では、1897年に博多電灯が開業し、地域の電気事業が始まりました。続いて1901年には日田水電が設立され、周辺地域における電力供給の動きが加速しました。こうした他の事業者の活動を受けて、久留米における電力事業の必要性が高まりました。
久留米電灯の設立は、久留米商人の国武喜次郎らによって推進され、1903年には設立の決定が下されました。「久留米電灯」として資本金5万円での設立申請は、1904年に行われ、その後日田水電からの受電を選択することになります。

事業の発展

久留米電灯は1907年に、日田水電が建設した330キロワットの水力発電所からの電力供給を受け、1908年には需要の増大に伴い、動力用電力の供給も開始しました。さらに、近隣の広滝水力電気からも電力を購入し、事業を拡大させることによって、供給能力を増強しました。
この結果、供給力不足の解消に成功し、営業成績も向上。この頃には、顧客数が612戸、電灯数が2850灯から、わずか数年で1万灯を超えるまでに成長しました。

電気料金の問題

しかし、電気料金の高さが地域住民からの批判を招くこともありました。1909年、料金引き下げを実施したものの、さらなる値下げを求める運動が起こり、結局、電気料金は再び引き下げられました。このように、久留米電灯は地域住民との関係を築きながら事業を進めていきました。

合併とその後

1910年には、日田水電との合併交渉が進展を見せましたが、九州電気の好条件に魅力を感じた久留米電灯経営陣は、競合する日田水電との合併を断念し、九州電気との契約を選択しました。しかし、間もなく日田水電は合併を禁止する仮処分命令を出し、合併計画は頓挫します。この混乱を利用して九州電気側は株式を買収し、久留米電灯の経営権を掌握します。

結果、久留米電灯は1916年には九州電灯鉄道に合併され、歴史の幕を下ろしました。この合併により、久留米電灯の資本金も引き継がれ、彼らの提供していた電力が継続されることになりました。

供給区域

久留米電灯が営業していた地域は、主に福岡県久留米市とその周辺、また佐賀県の一部が含まれます。これにより、久留米周辺の数多くの家庭や事業者に電力を供給し、地域経済の発展にも寄与しました。

結論

久留米電灯株式会社の設立から合併までの歴史は、地域の電力供給の成り立ちを示す重要な一章です。電力の普及が、地方都市の発展にどのように寄与していったかを知る上でも、久留米電灯の存在は、電力事業の歴史を語る上で欠かせない存在となっています。

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