久米又三

久米 又三（くめ またぞう）は、明治から昭和にかけて活躍した日本の著名な生物学者であり教育者です。1899年10月21日、兵庫県神戸市に生を受けました。

高等教育は東京帝国大学に進み、理学部動物学科にて動物発生学を専門分野として学び、1924年に卒業しました。卒業後、教育者としての道を歩み始め、東京女子高等師範学校での勤務を経て、後にお茶の水女子大学へと移りました。

お茶の水女子大学では、長年にわたり教壇に立ち、生物学の研究と後進の育成に尽力しました。教授として数多くの学生を指導する傍ら、大学運営においても重要な役割を担いました。付属図書館長や理学部長などの要職を歴任した後、1960年から1965年にかけて同大学の学長を務めました。学長在任中は、大学の発展に多大な貢献をし、特に大学院の設置に向けた取り組みに尽力したことは、彼の教育者としての情熱を示す特筆すべき業績です。

大学外においても、我が国の高等教育の向上に貢献しました。大学基準等研究協議会、大学設置審議会、公立大学調査委員会といった、教育機関の基準策定や設置に関する重要な会議体の委員を務め、教育行政の側面からもその専門知識を活かしました。

研究者としては、動物発生学に関する数多くの著作を残しています。代表的な著書としては以下のものが挙げられます。

『鶏の発生図説』（成美堂、1939年）
『無脊椎動物発生学』（團勝磨との共著、培風館、1958年）
『脊椎動物発生学』（培風館、1966年）
『生物実験図鑑』（監修、講談社、1969年）

これらの著作は、発生学研究の進展に貢献するとともに、教育現場でも広く活用されました。

晩年は病を得ていましたが、1976年5月9日、肺線維症のため聖路加国際病院にて、76年の生涯を閉じました。彼の墓所は、東京都台東区の寛永寺にあります。

久米又三は、研究者として、また教育者・大学運営者として、日本の生物学教育と研究機関の発展に尽くした功績は大きく、その貢献は高く評価されています。

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