久美浜原子力発電所

久美浜原子力発電所の計画と経緯

久美浜原子力発電所（くみはまげんしりょくはつでんしょ）は、関西電力が京都府熊野郡久美浜町にて原子力発電所の建設を計画したもので、2006年3月にこの計画は中止されました。この計画は当初、120万kW級の原子炉を2基設置するというものでしたが、最終的には6基、合計約720万kWまでの発電能力を持つことが可能と想定されていました。

計画の発端

1975年5月、関西電力は久美浜町の当局に対して、兵庫県境近くに位置する蒲井地区で環境調査を行う旨の申し入れを行いました。この時から、原子力発電所設置に対する地域住民の意見は分かれ、約30年にわたって論争が続くことになりました。住民を二分するこの対立は、地域の発展や安全保障に関わる重要な問題として浮上しました。

合併とその影響

2004年4月には、久美浜町を含む6つの町が合併して京丹後市が誕生しました。この新たな市政の下で、旧久美浜町以外の住民からの計画に対する理解が得られないという課題が浮き彫りとなりました。これを受けて、2006年2月に市当局が関西電力に対して事前調査の撤回を求める要請を行ったところ、同年3月8日に関西電力が計画中止を正式に発表しました。

地域振興の取り組み

京丹後市は、原発の立地に依存しない地域づくりを目指すことになります。蒲井・旭地域振興計画が策定され、論争で停滞していた地域の発展に向けた具体的な取り組みが始まりました。例えば、廃校舎を活用した宿泊施設「風蘭の館」や、滞在型の市民農園「京丹後市蒲井シーサイドクラインガルテン」などが立ち上げられました。これらの事業は、地域の資源を活用しつつ、観光や地域振興を図るための新しい試みです。

まとめ

久美浜原子力発電所の計画は、地域住民の意見対立や政治的な問題が絡み合う中で展開されました。そして、最終的に中止に至った背景には、地域振興の新たな方向性への模索があったことが見出されます。地元での持続可能な発展に向けた努力が続く中で、久美浜町の未来をどのように築いていくのかが今後の重要な課題となるでしょう。

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