乗務員宿泊所

乗務員宿泊所の概要

乗務員宿泊所（じょうむいんしゅくはくじょ）は、鉄道やバスなどの乗務員が出先で宿泊するために設けられた施設です。これらの宿泊所は、乗務員が緊急時や長距離移動の際に安定した休息を取ることができる貴重な場となっています。特に、鉄道関連の宿泊所は非常に多様で、乗務員区所や終着駅、ターミナル駅、車両基地に位置することが一般的です。

施設の形態

鉄道の乗務員宿泊所は、広々とした浴場やシャワーカプセル、トイレを完備し、多くの場合、個室はおおよそ3畳から4畳の大きさです。個室は一人一部屋として利用されることが多く、同じ行路を担当する同性の運転士や車掌が複数名で一緒に泊まることもあります。これは、乗務員同士がコミュニケーションを取る機会にもなり、相互に支え合う場でもあるのです。

ただし、駅構内や車両基地などに宿泊設備を設けることができない場合、近隣の宿泊施設、例えば旅館やビジネスホテル、あるいはアパートや雑居ビルの一室を貸し切ることも選択肢としてあります。国鉄時代には、運転区や車掌区が民家の一部を借り入れ、「外泊所」として利用していたケースも多く見られました。

部屋の設備

乗務員宿泊所の部屋には、ベッドや起床装置が設置されています。起床装置は、乗務員の時間管理を容易にするための重要な設備で、寝ている間に起こされる仕組みが備え付けられています。例えば、あらかじめセットされた時刻になると、布団の下にあるクッションが空気圧で膨らむことで、乗務員を起こす仕掛けや、チャイムやオルゴールの音で目を覚まさせる装置などがあります。

通信設備

また、出先での点呼やアルコール検査、業務連絡を行えるように通信設備も必要不可欠です。宿泊所内には、鉄道電話、テレビ電話、または固定電話を引き込むことが一般的です。これにより、乗務員は必要な情報を迅速にやり取りでき、業務を円滑に進めることが可能です。乗務員が宿泊所を利用する際には、業務用の携帯電話を携行することも求められます。

さらに、乗務員区所内には事務室とのインターホンが設置されていることもあり、乗務員がいつでも事務室との連絡を取ることができる環境が整えられています。このように、乗務員宿泊所は単なる宿泊施設ではなく、乗務員が迅速かつ効率的に業務を遂行するための大切な拠点なのです。

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