乗木新一郎

乗木新一郎（のりき しんいちろう）は、1946年8月12日に生まれ、日本の環境学と水産学の分野で顕著な業績を上げた学者です。北海道大学の名誉教授であり、藤女子大学の元教授でもあります。彼の専門は分析化学と地球化学であり、特に海洋における化学物質の除去過程に関する研究に深く携わってきました。

乗木氏は、北海道上磯郡木古内町の出身で、函館ラ・サール高等学校を卒業後、1969年に室蘭工業大学工学部工業化学科を卒業しました。その後、1976年には北海道大学大学院水産学研究科博士課程を修了し、水産学博士の学位を取得しました。同年、北海道大学水産学部の助手として研究生活をスタートさせ、1981年には同水産学部の講師に昇進しました。1985年には助教授、そして1989年には同大学院地球環境科学研究科の教授に就任し、長年にわたり研究と教育に尽力しました。

乗木氏の研究は、特に海洋環境における化学物質の動態に焦点を当てています。海洋は、地球上の様々な化学物質の最終的な貯蔵庫としての役割を果たしており、これらの物質がどのように海洋に運ばれ、どのように除去されるのかを理解することは、地球環境を保全する上で非常に重要です。乗木氏は、分析化学や地球化学の手法を用いて、これらの過程を詳細に解明しようと試みました。彼の研究は、海洋汚染のメカニズムの理解や、より効果的な環境管理戦略の策定に大きく貢献しています。

2010年に北海道大学を定年退官した後も、乗木氏の活動は止まることなく、藤女子大学文学部の教授として教鞭を執り続けました。2017年に藤女子大学を定年退職するまで、多くの学生を育成し、後進の指導にも力を注ぎました。彼の教育への情熱は、多くの学生に影響を与え、多くの研究者が彼の元から巣立っていきました。

乗木氏の主要な著書としては、西村雅吉編、角皆静男との共著である『海洋化学:化学で海を解く』（産業図書 1983年）があります。この著書は、海洋化学の基礎を解説したものであり、当時の海洋学の研究動向を反映しています。この書籍は、海洋化学の分野における重要な文献の一つとして広く知られています。

乗木新一郎の生涯は、教育者として、そして研究者として、海洋環境の保護に尽力したものであり、その功績は後世に語り継がれるでしょう。彼の研究は、私たちが地球環境をより良く理解し、持続可能な社会を築くための重要な基盤となっています。

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