九一式水上偵察機

九一式水上偵察機について

九一式水上偵察機（きゅういちしきすいじょうていさつき）は、大日本帝国海軍が開発した潜水艦搭載の偵察機であり、試作名称は横廠式二号水上偵察機と言います。略符号は「E6Y」で、多くの歴史的背景を持つ航空機です。

この水上偵察機は、1927年に試作された横廠式一号水上偵察機の後継機として位置づけられています。設計は横須賀海軍工廠の佐渡次郎機関少佐と鈴木為文技師により行われ、より高い性能と利便性を求めて改良が加えられました。1929年には試作機が完成し、1931年9月には伊号第五十一潜水艦（伊51）での飛行試験が実施されました。この試験では、機体が期待に応える成績を収め、1932年1月に制式採用される運びとなりました。

制式採用後の生産及び機体の改良は川西航空機が担当しました。川西で生産された機体はエンジンの交換や機体の改修が行われ、社内では「N型水上偵察機」として知られています。全体で10機の生産が行われ、そのうち8機が川西によるものでした。1933年5月には伊51によるカタパルト発射試験に成功し、実用試験や訓練に応じた役割を果たしました。

この機体は、イギリス海軍の潜水艦搭載偵察機であるパーナル ペトを参考にして設計されています。複葉双フロート構造を持ち、金属と木材の骨組みに布張りの外皮が特徴です。潜水艦に搭載されるために短時間での組み立てと分解が可能な設計になっています。試作機に搭載されたエンジンは三菱の「モングース」で150馬力を発揮しましたが、川西で生産された機体では瓦斯電の「神風」エンジンが装備され、最大160馬力を実現しました。

諸元（量産機）

• - 全長：6.89 m
• - 全幅：8.00 m
• - 全高：2.83 m
• - 主翼面積：16.88 m²
• - 自重：590 kg
• - 全備重量：800 kg
• - エンジン：瓦斯電 神風 空冷星型7気筒（最大160 hp） × 1
• - 最大速度：169 km/h
• - 巡航速度：126 km/h
• - 実用上昇限度：3,320 m
• - 航続時間：2.06時間
• - 乗員：1名

この機体は海軍の戦力として重要な役割を果たしました。また、類似の機体である九六式小型水上機などとの関連も見受けられ、当時の航空機設計の一端を担っていました。九一式水上偵察機は、軍事技術の進化を象徴するものであり、その成果は後の航空機開発に大きな影響を与えたと言えるでしょう。

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