九一式重戦車

九一式重戦車（試製九一式重戦車）

九一式重戦車（きゅういちしきじゅうせんしゃ）または試製九一式重戦車（しせいきゅういちしきじゅうせんしゃ）は、大日本帝国陸軍によって1931年に開発された重戦車です。これは日本国内で初めて製造された戦車の一つとして知られています。本車は、前のモデルである試製一号戦車の改良版であり、さまざまな点で進化を遂げています。

残された課題と改革

試製一号戦車は1927年に開発され、当時の富士演習場で行われたデモでは好評を得たものの、重量の増加が問題となり、予定より2トンも重くなり、最高速度が20km/hに留まる結果となりました。これを受け、陸軍はこの車両を採用しない決定を下し、代わりに軽戦車である八九式軽戦車を選択しました。しかし、陸軍は敵に対抗するための重戦車の必要性を感じ、1928年には新たな重戦車の開発を決意しました。このような背景から、九一式重戦車の開発がスタートしたのです。

特徴と性能

九一式重戦車は、1932年に完成しました。この戦車は、全高や形状から八九式中戦車に似たところがありますが、重量は同じく18トンです。ただし、エンジン性能の向上により最高速度は25km/hに改善されています。さらに、主砲の口径も当初の57mmから、後に70mmにアップグレードされており、攻撃力が増しています。機関銃は、車両前部と後部に各1挺、主砲塔後部にも1挺配置され、合計で3挺装備されています。

乗員は、操縦手、機銃手、車長、砲手、そしてもう一人の機銃手の計5名です。装填手の役割は砲手または車長が担う形で、車内では伝声管を使ってコミュニケーションを取っていました。

機構とデザイン

本車の機構は後輪駆動で、起動輪が車体の後方に配置されており、前方には誘導輪が設けられています。また、前方には履帯のテンションを調整するためのアジャスターが備わっており、整備性が考慮されています。消音器はエンジン室の右側に配置されていますが、本車は試作車両であったため、使用されていた鋼材は戦闘における耐久性が不要な軟鋼製であった可能性があります。

生産とその後

九一式重戦車の生産数はわずか1輌であり、続く九五式重戦車も少数しか製造されませんでした。1945年の時点で本車が存在したことを示す写真が残されており、装備は撤去された状態で相模造兵廠で撮影されたものです。これは、この戦車が最後まで保管されていたことを示す貴重な証拠となっています。

文化的影響

九一式重戦車は、現在でもいくつかのメディア作品に登場しています。特に、人気オンラインゲーム『World of Tanks』では、日本の重戦車「Type 91 Heavy」としてプレイヤーが使用可能です。このようなゲームを通じて、歴史的な戦車の存在が新しい世代に紹介され続けています。

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