九二式偵察機

九二式偵察機について

九二式偵察機は、太平洋戦争前の日本陸軍において主に偵察任務や地上観測、攻撃支援に使われた航空機です。設計と製造は三菱重工業が手掛け、特にこの機体の特徴は初めて純国産エンジンが搭載されたことにあります。この偵察機は、日華事変の期間中にも活躍し、現場の部隊に必要な情報を提供しました。

開発の背景

1930年、陸軍は地上戦力と連携し、近距離での偵察能力を備えた航空機の開発を三菱に指示しました。この要求に応える形で、三菱ではフランスから招かれたエンジニア、ベルニス技師の指導のもと、機体の設計が進められました。1931年3月には試作第1号機が完成しましたが、初期モデルはその構造が過剰に頑丈であったため、重量が増してしまい、また中心位置の設計も不適切だったことから、運動性や操縦性に問題がありました。

これを解決するため、主翼や胴体の再設計、エンジンの交換などの改良が重ねられ、最終的には陸軍の求める性能に達することができました。その結果、1932年に正式に九二式偵察機として採用される運びとなりました。特に試作4号機からは、国産の三菱九二式エンジンが搭載され、これは軍用機として初めての純国産エンジンでした。

主な運用

九二式偵察機は主に華北地区や満州方面で使用され、地上部隊との効果的な連携によってさまざまな任務をこなしました。しかし、より高性能な九四式偵察機が新たに登場すると、本機の配備は急速に減少しました。生産は三菱の工場と名古屋工廠で行われ、累計で約210機が製造されました。

スペック

この偵察機の主な技術仕様は以下の通りです：

• - 全長：8.52m
• - 全幅：12.75m
• - 全高：3.48m
• - 主翼面積：26.0m²
• - 自重：1,060kg
• - 全備重量：1,770kg
• - エンジン：三菱九二式空冷星型9気筒エンジン（出力420 hp）
• - 最大速度：220 km/h
• - 航続時間：最大5時間
• - 武装：7.7mm機関銃×3、爆弾120kg
• - 乗員：2名

関連情報

九二式偵察機は日本陸軍の航空運用において重要な役割を果たした機体です。また、当時の偵察機や哨戒機の種類について興味がある方は、関連項目を調べることでさらに理解を深めることができるでしょう。

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