九五式三型練習機

九五式三型練習機（キ17）の概要

九五式三型練習機（きゅうごしきさんがたれんしゅうき）、通称キ17は、第二次世界大戦前に日本陸軍によって採用された練習機です。この機体は石川島飛行機（後に立川飛行機として知られる）によって設計され、製造されました。

開発の背景

昭和9年9月に、石川島飛行機は初歩練習機であるキ9の試作1号機を完成させましたが、エンジンの出力不足や重心の不正が原因でその飛行性能は充分とは言えず、結果的に不採用となりました。その後、日本陸軍は昭和10年4月に新たな練習機、キ17の開発を石川島に命じました。陸軍の要求は、150hp級のエンジンを搭載し、最大速度は170km/h、そして8月中に試作機を2機納入するというものでした。

石川島飛行機は、キ9の基本設計を取り入れつつ、軽量化を図って試作機を作成。これにより、無事陸軍への納入に成功し、審査の結果も好評を得ることができました。その結果、昭和10年12月に九五式三型練習機として正式に採用が決定されました。

基本構造と特長

キ17は、木製の骨組みと合板・羽布張りの主翼、鋼管骨組みに羽布張りの胴体を持つ複座の複葉機です。興味深い点として、補助翼は下翼にのみあり、エンジンカウリングは省略されています。

本機の最も独特な特徴には、35kg/m²という非常に低い翼面荷重があります。これにより、離着陸性能や低速での安定性が非常に高く、操縦のしやすさも相まって、理想的な初歩練習機として多くのパイロットに利用されました。しかし、操縦が容易すぎるとの意見もあり、西洋の軍用練習機としては不適当とされることもありました。

使用状況と生産

初歩練習機としての役割を果たしていましたが、本機の性能向上にともない、初歩練習過程は次第に短縮されていきました。そのため、太平洋戦争中期以降、日本陸軍の飛行学校ではキ17を用いた訓練が行われなくなりました。その後、キ17は通信機や連絡機、観測機としても活用され、多くは民間の乗員養成所に払い下げられて訓練に使われました。また、タイに対しても約20機が輸出されています。

生産に関しては、石川島飛行機や東京飛行機製作所により行われ、昭和18年までの間に合計660機が生産されました。

スペック

以下は九五式三型練習機キ17の主なスペックです：

• - 全長： 7.85 m
• - 全幅： 9.82 m
• - 全高： 2.95 m
• - 主翼面積： 26.2 m²
• - 自重： 639 kg
• - 全備重量： 914 kg
• - エンジン： 日立 ハ12 空冷7気筒エンジン 160 HP
• - 最大速度： 174 km/h
• - 航続時間： 3.55 h
• - 実用上昇限度： 4,200 m
• - 乗員： 2名

集約して、九五式三型練習機キ17はその独自の設計と生産により、陸軍の練習機として大きな役割を果たしました。

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