九五式野戦力作車

九五式野戦力作車リキ

九五式野戦力作車リキ（きゅうごしきやせんりきさくしゃ リキ）は、大日本帝国陸軍が開発した工兵車両です。この車両は、九五式力作機や九五式力作車とも呼ばれ、主に野戦での重材料の取り扱いを目的に設計されています。リキは橋の修理や建設、交通路の障害物の排除、重器材の修理など、さまざまな工兵作業を支援する役割を果たしています。

開発の背景

日本陸軍では、満州事変前後に工兵機材の機械化を進めており、そのなかでリキの開発が行われました。1934年には、日本初の諸兵科連合の機械化部隊が編成され、独立混成第一旅団として活動を開始しました。この旅団は、独立歩兵第一連隊、独立野砲兵第一連隊、戦車第三、第四大隊、独立工兵第一中隊から構成されており、全ての工兵は自動貨車に搭乗し、装甲作業機を装備しました。このように、国の防衛力を強化するため、工兵部隊の機械化が積極的に推進されました。

昭和15年には、工兵学校で一般師団工兵の機械化の検討が行われましたが、当初の計画通りには進まず、一部の部隊では必要な機材の整備が達成されることはありませんでした。東京瓦斯電気工業は、陸軍の要求に応じて特別な車両を製作しており、1934年にリキが製造された記録があります。生産台数の詳細は不明ですが、1939年の調弁器材表には機力器材として20両、1940年には18両が計画されました。昭和16年度には、33両を要求し28両が完成しました。

構造と機能

九五式野戦力作車リキは、操縦室を車体の前方中央に配置し、車体後部には360度旋回可能な3トンジブ・クレーンが設置されています。このクレーンは、車体のエンジンから動力を受け、変速機とギアボックスを経由して作動します。クレーンの全長は5.54メートルで、吊り上げ荷重は約1.5トンです。

クレーンの操作は3種類のレバーと3つのクラッチペダルを用いて行い、使わない時は操作席上部のクランプで固定します。加えて、クレーンには大きな探照灯が装備されています。なお、本車の装甲は6mmから8mmで、操縦室は後方から見て上面と右側にハッチがあります。操縦者は操縦室の右側に乗り込みます。

走行装置と性能

走行装置には前方に直径48cmの起動輪、直径22cmの転輪を8個備え、後方に誘導輪も装備しています。上部転輪はゴム付きで、懸架装置はシーソー型のばね懸架が採用されています。また、燃料タンクは3個あり、そのうちの1つは操縦手の座席にも使用され、合計で180リットルの燃料を収納可能です。走行可能な時間は約10時間です。

九五式野戦力作車リキは、装甲作業や橋の補修、重器材の移動に適した特別な車両であり、その性能と構造から第二次世界大戦中の日本軍において重要な役割を果たしました。

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