九四式三号丙無線機

九四式三号丙無線機について

九四式三号丙無線機（きゅうよんしきさんごうへいむせんき）は、昭和初期に大日本帝国陸軍が開発した無線機であり、主に地上と航空機間の通信、さらに中距離の対空通信に使用されました。この無線機は、通信距離が約50kmで、そのうち30km以内の通信を確実に行うことが求められていました。

研究の経緯

昭和6年から本機の開発が始まり、当初の方針としては中波と中短波を利用すること、電信通信が可能であることが掲げられました。輸送も考慮され、駄馬3頭または輜重車2輌で運搬可能な設計がなされました。その後、昭和7年には騎兵通信班用の無線機の研究が進められ、機動性と通信距離の向上が目指されました。こうした中で、簡素化された無線電話装置の追加も決定されました。

試験と改良

昭和9年1月、満州北部での冬季試験において、九四式三号丙無線機の電信性能が優れていると評価されましたが、電話通信については変調度の浅さが指摘され、改善が求められました。この結果を受けて、試作器材に改良が加えられ、陸軍砲兵学校での追加試験でも実用性が確認されました。

その後、昭和10年3月に陸軍重砲兵学校での試験が行われ、地上連絡用として所定性能を発揮したことが認められました。試験の結果を基に用途が広がる中、製材検査も行われ、短期間での生産が可能であることが明らかになりました。

機材構成

九四式三号丙無線機は、通信機、発電装置、空中線およびその付属品から構成されています。通信機は送信装置と受信装置に分かれ、送信機は水晶制御によって電信と無線電話を行います。周波数範囲は400から5,700キロサイクル毎秒で、受信機では拡大と検波の機能があり、周波数範囲は300から5,700キロサイクル毎秒となっています。

発電装置は手廻発電機を利用し、定格出力は64ワット、電圧は高圧400ボルト、低圧8ボルトで運用されました。空中線は25mのワイヤーを用いて高さ5mの電柱に張り、地線として10mまたは20mのワイヤーを敷設する形で構築されました。全ての装置は箱に収納可能で、輜重用の駄馬具によって運搬されました。

結論

九四式三号丙無線機は、大日本帝国陸軍の重要な通信手段として機能し、様々な戦闘シーンで活用されました。性能の向上と運用の効率化を重視した開発プロセスは、当時の通信技術の進歩を物語っています。

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