九四式三号甲無線機

九四式三号甲無線機について

九四式三号甲無線機（きゅうよんしきさんごうこうむせんき）は、大日本帝国陸軍のために開発された中距離通信機です。この無線機は、陸軍騎兵旅団司令部用として昭和6年に研究が始まりました。主な目的は、騎兵旅団司令部とその指揮官、ならびに師団の騎兵部隊や騎兵斥候との間で通信を確保することです。

無線機は、通信距離が最大80km、実用的な通信距離は50kmを求められました。また、装備の軽量化が重要視され、運搬に必要な機材は2頭の駄馬で搭載可能であり、騎兵も駄馬1頭で運ぶことができるように設計されました。

昭和7年には、関係者の意見をもとに審査要領が定められ、10月には特殊用途の試作機、いわゆる十一号級無線電信機が試験され、80kmでの通信能力が確認されました。12月には、第一次試作器材の運搬試験が行われ、その結果は若干の改修を必要としましたが、騎兵小部隊の行動に追従できる機能が認められました。

日中戦争の最中、この試作機は陸軍兵器本廠に正式に置かれ、その後も一連の試験を経て、昭和9年にはさらに改良を加えた無線機が騎兵用として適切であるとの評価を受けました。昭和10年には、陸軍騎兵学校での試験で、送受信機の堅牢性が指摘されたものの、無線機としての適性が確認されました。

昭和11年には、兵器採用検査をクリアし、短期間での製造が可能であると評価され、11月には仮制式制定の上申が受理されました。これにより、九四式三号甲無線機は正式に陸軍の通信装置として採用されることとなりました。

構成部品

この無線機は、以下の主要な部品で構成されています。

• - 通信装置: 送信部と受信部から成り、送信部は水晶制御による電信送信を行い、受信部は拡大と検波機能を持っています。
• - 発電装置: 2人の手動による発電機で、高圧と低圧の出力を持ち、定格の電流はそれぞれ異なる設計になっています。
• - 空中線: 送信用と受信用の空中線がそれぞれ不同の長さと設置高さで設計され、効果的な通信を実現しています。
• - 付属品: 受話器や接続紐など、運搬に便利な道具も含まれています。
• - 予備品: 交換用の部品も用意されており、実用性が考慮されています。

九四式三号甲無線機は、その軽量化と運搬の容易さから、騎兵旅団の通信手段として非常に重要な役割を果たしました。この無線機は、戦時中の連絡を円滑にし、陸軍の運用に貢献したと評価されています。

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