九四式二号丁無線機

九四式二号丁無線機の概要

九四式二号丁無線機は、大日本帝国陸軍が開発した車載用の無線通信装置です。これは主に九三式六輪乗用自動車に搭載され、戦場での電信や無線電話通信を可能にしました。この機器は、行動中の電信通信が60km、無線電話通信が16kmまで可能で、特に移動中の部隊と司令部との連絡を円滑にします。全備重量は約3tで、車両には無線通信に必要な各種装置が装備されています。

開発の背景

この無線機の開発は昭和6年に始まりました。車両間の無線通信において電信は10km、電話は3kmの通信距離が確保できることが確認されました。また、通信内容を明瞭にするための研究も重要視されました。昭和8年6月には、自動車無線機の用途や通信距離についての議論が行われ、その成果をもとに昭和8年9月に試作機の試験が実施されました。その際、無線遮蔽の向上が求められました。

実地試験と改良

昭和8年10月には改良を施した試験が行われ、最大20kmの範囲で無線電話が可能であることが確認されました。11月には第一師団の秋季演習に参加し、自動車部隊と騎兵部隊間の通信においてその有効性が評価されました。昭和9年には、使用環境に耐えることや移動可能な車両についての改良方針が定められ、通信距離は電信で60km、無線電話で16kmを達成しました。

特に注目されるのは、特殊通話装置を追加した点で、これにより通信の安全性が向上しました。昭和9年の特別大演習においても、その堅牢さと操作の簡便さが確認され、実用性が認められました。

技術的特長

九四式二号丁無線機は、いくつかの重要な構成要素から成り立っています。まず、通信機には送信装置、受信装置、そして秘密通話装置が含まれています。送信機は主に水晶制御であり、電信と無線電話の両方に対応することが可能です。受信機は高い拡大性能を持ち、広範囲の周波数で動作します。特に秘密通話装置は、通信内容を秘匿するために設計されています。

電源の構成部品や空中線の設置も重要で、車両に搭載された4本の固定空中線は、並行に装備されます。さらに、停車時には通信能力を高める補備空中線も使用されます。

総括

九四式二号丁無線機は、日本陸軍において重要な役割を果たした通信機器でありました。昭和11年には極寒環境での試験も実施され、-25度の厳しい条件下でも使用可能であると認められています。これにより、短期間での製造が可能であることが証明され、最終的には仮制式制定の上申が行われました。通信機器としての機能性と操作性の両方で高く評価され、陸軍の作戦行動に寄与した一例として歴史に名を残しています。

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