九四式二号丙無線機

九四式二号丙無線機の概要

九四式二号丙無線機（きゅうよんしきにごうへいむせんき）は、大日本帝国陸軍によって開発された車載型の無線通信機です。この無線機は、特に機械化部隊どうしの遠距離通信を可能にするために設計され、九六式六輪自動貨車に搭載されるものでした。走行中も通信を行うことができるため、戦術的な柔軟性を持ち、電信においては行動中最大で120km、停止時には300kmもの通信距離を実現しました。また、無線電話としては走行中でも24kmの距離を維持可能でした。

開発の経緯

この無線機の開発は昭和6年に始まりました。研究は車両搭載型の通信システムを強化することを目指し、機器の選定と配置が検討されました。昭和8年には、実際の移動性を重視して通信距離の確認や試作機の開発が進められました。特に、最初の試作機の試験は同年の9月に行われ、その結果から無線遮蔽の施策が求められ、逐次改良が加えられました。

仕様と機能

九四式二号丙無線機は、通信機、電源、空中線材料、自動車、附属器材から構成されています。主な通信機能は、送信装置と受信装置、そして秘密通話装置があり、通信の際に発生する電波を難読化する役割を果たしていました。送信装置では、900から6,675キロサイクル毎秒の周波数帯で電信と電話の送信が行え、受信装置は140から15,000キロサイクル毎秒の幅広い帯域に対応していました。

電源

電源は電動発動機と直流発電機で構成され、強力な出力を提供しました。直流発電機は、600ワットの出力を誇り、安定した電源供給が可能です。さらに、蓄電池と分解工具も装備され、緊急時の対応も可能にしていました。

車両

使用された九六式六輪自動貨車は、車両の改修を受け、無線通信機器が適切に搭載されました。従来の構造に加え、無線機が安定的に動作できるよう無線遮蔽が行われました。自動車自体の特性として、全長は約5.43m、全幅は1.95m、最大速度は60km/hであり、十分な操縦性と速度を持ち合わせていました。

実績と評価

昭和11年に至るまでには、様々な試験が行われ、多くの改良が施されていきました。冬期試験などを通じて、マイナス25度という厳冬期でも通信が成立する能力が確認されます。この結果は、機械化部隊での実用性が高いと判断される要因となりました。特に、様々な演習において有効な連絡手段として機能し、その堅牢性と扱いやすさが評価されました。

結論

九四式二号丙無線機は、大日本帝国陸軍の通信歴史の中で重要な位置を占めた装置です。通信技術の向上や運用の実効性を追求する中で、その性能と信頼性が多大な効果をもたらしました。今後の戦争形態における通信の重要性を再認識させる機材でありました。

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