九州大学マス・フォア・インダストリ研究所

九州大学マス・フォア・インダストリ研究所について

九州大学マス・フォア・インダストリ研究所（Institute of Mathematics for Industry、略称IMI）は、2011年に設立された九州大学の附置研究所です。この研究所は、主に数学を駆使して産業の技術基盤を築き、さまざまな課題に挑むことを目的としています。特に、産業界からの要請に基づく純粋数学と応用数学の新たな融合を追求しています。

設立の背景

九州大学の大学院数理学研究院から分割改組される形で設立されたIMIは、アジアで初めての産業数学専用の研究所でもあります。九州大学における先進的な研究の一環として、数学の実用性を高めるための多様な研究活動が行われています。

IMIは、産業数学の発展に寄与するため、2013年には文部科学省から「産業数学の先進的・基礎的共同研究拠点」として認定され、全国の数学研究機関の中でも高い評価を受けています。

研究の特色

マス・フォア・インダストリ研究所では、さまざまな数学の分野を広くカバーする研究者が集結し、産業への数学の応用に特化した研究に取り組んでいます。たとえば、応用解析、統計学、代数学、幾何学など、実用的な成果を上げるための研究が進められています。さらに、産業界からのフィードバックを受けることによって、新しい数学の問題を発掘し、学術的な成長を促す環境も整っています。

産学官連携と国際協力

IMIは、産学官の連携や国際協力を重視した活動を行っています。現在、22社と共同研究を行い、企業への研究者の派遣も実施しています。また、地域振興にも寄与しており、福岡県糸島市の観光客誘致にも力を入れています。国際レベルでは、オーストラリアのラ・トローブ大学に分室を設置し、オセアニア地域の研究機関との連携を強化しています。

研究部門の構成

IMIは、以下のような専門的な研究部門から成り立っています：

• - 数学テクノロジー先端研究部門：企業が抱える数理的な課題を解決するための共同研究を行います。
• - 応用理論研究部門：さまざまな応用可能な数学技法の開発を目指します。
• - 基礎理論研究部門：数学的手法がまだ明確でない問題に対する基礎的な研究を進めます。
• - 数理計算インテリジェント社会実装推進部門：企業や研究所と連携し、数学理論を実社会に応用します。
• - 富士通ソーシャル数理共同研究部門：富士通と連携し、人間の行動モデルを社会システムに組み込む技術を開発します。
• - 先進暗号数理デザイン室：次世代の暗号理論の研究を行います。
• - 連携推進・技術相談室：産業と数学の橋渡しを行う役割を担います。

今後の展望

九州大学マス・フォア・インダストリ研究所は、今後も産業数学の発展を促進し、革新的な研究と実用的な応用を通じて、社会全体の技術力向上に寄与していくことを目指しています。各部門で推進する研究が相互に連携し、より深い知見と技術の創造に向けた取り組みが期待されます。

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