二十六年式拳銃

二十六年式拳銃について

二十六年式拳銃（にじゅうろくねんしきけんじゅう）は、大日本帝国陸軍が1890年代初期に採用した回転式拳銃です。この拳銃は日本の軍用拳銃の中で特に重要な存在であり、その開発背景や設計の特長が注目されています。

開発の背景

日本陸軍は設立当初、S&W No.3の針打式リボルバーを制式拳銃として使用しましたが、その重量と大きさ、並びに片手での連射が難しいという欠点があり、ダブルアクション機構を持つ新型拳銃が求められていました。1886年には、フランスのMAS 1873拳銃を契約し、その国産化を試みましたが、高い工業水準に基づくその設計の模倣は難航しました。その後、1893年にフランス製の9mm Belgian Nagantをモデルとして、新たな独自設計の拳銃が開発され、この結果、二十六年式拳銃として陸軍に採用されるに至りました。

メカニズム

二十六年式拳銃は、サイド・プレートが蝶番で接続された構造を持ち、メンテナンスが容易である点が特長です。固定照準式であり、シリンダー・ストップがなく、引き金を引くことでシリンダーがロックされる仕組みも独自の設計です。撃鉄やS/A機能は廃止され、D/Aのみのシンプルな構造となっています。

銃身と弾薬

二十六年式拳銃の銃身は特異な設計を持っており、ライフリングは深く掘られており、ガス漏れを誘引させる構造です。この設計は腔圧を下げる効果がある一方、威力を低下させる要因ともなりました。拳銃に使用される9mm×22R弾薬は、当初の模倣対象であったMAS 1873拳銃の弾薬に似たエネルギー値を持っていますが、いくつかの構造的違いがあります。

配備と運用

日本だけでなく、清や大韓帝国でも使用され、特に日本の試験や実戦においては、長い期間にわたってその信頼性が評価されました。第一次世界大戦に入ると、回転式拳銃が自動拳銃に取って代わられていく流れの中で、陸軍内でも南部式自動拳銃が採用されましたが、二十六年式拳銃は故障の少なさから、更新が進まないまま使用され続けました。

銃のエピソード

二・二六事件では、鈴木貫太郎首相がこの拳銃で数発撃たれながらも生還したことから、同銃の低威力に関する意見も聞かれます。戦後には多くの米兵が戦利品としてこれを持ち帰り、多数が民間市場にも流通しています。特に、東京の桑原鉄砲店はこの拳銃を基にした拳銃を販売し、陸軍の将校たちにも使用されました。

現代の影響

現在でもアメリカでは「Type 26」として知られ、自作の弾薬で射撃を楽しむ愛好家も存在しています。特にこの拳銃の魅力は、当時の独自なデザインと、射撃における独特の楽しさにあります。

登場作品

二十六年式拳銃は、映画やアニメの中でも登場し、実在の歴史を反映したストーリーに登場します。特に『226』や『金田一少年の事件簿N (neo)』などの作品では、歴史的な背景や緊張感あるシーンで使用されています。

このように、二十六年式拳銃は歴史的にも技術的にも重要な銃器であり、日本の軍事史において特筆すべき存在です。

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