二条新地

二条新地は、京都市左京区川端二条東入に位置していた、かつての花街です。

歴史

二条新地の起源は江戸時代前期に遡ります。当時、聖護院村と呼ばれていた地域で街の開発が進められ、水茶屋が開業されたのが始まりとされています。その後、二条新地は公許の花街である嶋原の支配下に置かれ、祇園町、祇園新地、上七軒に次ぐ花街として発展を遂げました。

江戸時代の文人、滝沢馬琴は、自身の著作『羇旅漫録』（享和2年）の中で、当時の京都における遊郭の様子を次のように描写しています。「京にて見世付ある妓楼は、縄手、二条新地、北野、内野、御所うら等なり、これらはいづれも見世をはる。いづれも賤妓にして、見せはうちつけ格子、畳わづかに三、四畳を敷べし。二条新地尤多し」。この記述から、二条新地が当時、多くの遊女を抱え、賑わっていた様子が伺えます。

明治時代に入ると、二条新地は嶋原から独立した花街として、独自の歩みを始めます。芸妓や娼妓の教育施設である女紅場を設置し、花街としての格式を高めました。

廃止

しかし、二条新地の繁栄は長くは続きませんでした。明治時代に入り、二条新地の北側に第三高等学校（後の京都大学）が建設されることになります。これに対し、京都府は二条新地の存在が風紀上好ましくないと判断し、1887年（明治20年）に二条新地を廃止する決定を下しました。

現在、二条新地の跡地は普通の住宅地となり、かつての花街としての面影はほとんど残っていません。しかし、その歴史は、文献や資料を通じて、今に伝えられています。

参考文献

田中緑紅『亡くなった京の廓 上』京を語る会発行、1958年（昭和33年）
田中泰彦編集『京都遊廓見聞録』京を語る会発行、1993年（平成5年）

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