二流の人 (海援隊の曲)

「二流の人」は、1979年12月1日にリリースされた海援隊のアルバム『倭人傳』に収録された楽曲です。作詞は武田鉄矢、作曲は中牟田俊男が担当しました。

この曲は、戦国時代の武将、黒田孝高（通称：黒田官兵衛）をテーマにしています。1600年、関ヶ原の戦いという歴史的な転換期に、九州全土を制圧し、天下を狙ったとされる孝高の野望や心情を歌い上げています。歌詞は、彼の抱いていたであろう複雑な感情や、歴史の表舞台には立たなかった、もう一つの可能性を追求したかのような、ある種の無念さが表現されています。

曲名にある「二流の人」という言葉は、作家・坂口安吾の歴史小説『二流の人』から着想を得ています。しかし、楽曲で描かれる黒田孝高の人物像は、小説におけるそれとは必ずしも同一ではありません。小説では、歴史の陰に隠れた人物たちの視点から歴史を描くことを試みていますが、海援隊の「二流の人」は、孝高自身の内面に焦点を当て、彼の野心や葛藤をよりドラマチックに、そして音楽的に表現することに重きを置いています。

歌詞の中では、戦国時代の武将としての黒田孝高の勇猛さ、知略に長けた一面とともに、歴史の大きな流れの中で、必ずしも主要な役割を担うことができなかった彼の心情が、力強く、かつ繊細に歌われています。彼は、関ヶ原の戦いという天下分け目の戦いを、直接的に決定づけるような立場にはいませんでしたが、その後の歴史に大きな影響を与えた人物の一人であることは間違いありません。

「二流の人」は、単なる歴史上の人物を題材にした歌としてだけでなく、現代社会を生きる私たちにも、共感できる普遍的なテーマを含んでいます。それは、どんなに優れた才能や野望を持っていても、必ずしも歴史の表舞台で活躍できるわけではないという現実、そして、その中でどのように生きるかという問いです。

この曲を聴くことで、歴史上の人物の生き様から、現代を生きる私たちの人生における選択や価値観について、改めて考えるきっかけとなるでしょう。また、楽曲に込められた力強いメッセージは、聴く人の心を揺さぶり、勇気を与えることでしょう。

関連事項として、歌詞の背景にある関ヶ原の戦いを理解することで、より深く曲を解釈することができるでしょう。

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