二階堂擁立構想

二階堂擁立構想とは

1984年に起こった二階堂擁立構想は、自由民主党内での権力闘争を象徴する重要な出来事です。この事件の主な目的は、中曽根康弘が次期自民党総裁に再選されるのを阻止することでした。特に、この計画の中心にいたのは鈴木善幸元首相や福田赳夫元首相などの非主流派の政治家たちです。

背景

1984年11月に予定されていた自民党総裁選挙に向けて、中曽根は高い支持率を誇り、再選の意欲を示していました。しかし、中曽根内閣が田中派からの影響を受けていたため、鈴木や福田、河本といった非主流派は不満を募らせていました。また、この年に田中派から二階堂進が副総裁に就任したことで、彼らの不満はさらに高まりました。

田中角栄は自身の無罪を勝ち取るために、中曽根を利用する意図を持っており、そのため中曽根の再選がほぼ確実視されていたため、鈴木や福田は緊張感を持っていたのです。

経緯

1984年10月26日、鈴木は田中邸を訪れ、次期総裁選で二階堂を立てる計画を提案しました。当時の田中派は最大派閥であったものの、田中自身が政権復帰を望んでいたため、鈴木は二階堂を中曽根と田中の両派の中間に立たせることで、政治的な駆け引きを画策したのです。この構想の中で、鈴木は田中と中曽根の間を分断し、次の総裁選では自派の宮澤を立てることを目指していました。

10月27日には、二階堂が田中に対して中曽根を辞めさせる理由がないと激しく反論し、次の総裁選での支援について意見が交わされましたが、結果的に両者の意見は平行線のままでした。この企ては、その後の政治的な駆け引きや党内の意見の対立により実現しませんでした。

影響

最終的には、前述の計画は中曽根の再選を阻止することには至らず、1984年11月1日に中曽根の再選が決まりました。この事件によって、自民党内での長老政治が徐々に終わりを告げ、福田、鈴木、三木といった首相経験者たちの影響力が低下することになります。さらに、この事件は田中派の結束にもヒビを入れ、党内での政治的な力関係が変化するきっかけとなりました。

二階堂擁立構想の第二幕

その後、1986年には中曽根が更なる政権運営を進め、再び二階堂が自民党内で総裁選への出馬を表明しますが、支持を得られずに断念する事態となりました。このように、二階堂擁立構想は二度にわたって果たせなかった試みであり、その結果、二階堂グループは議員数が減少し、最終的に消滅してしまうこととなったのです。

このような背景を持つ二階堂擁立構想は、日本の政治史において重要な転換点を示しており、特に自民党内の派閥や権力ダイナミクスを理解する上で欠かせない事例となっています。

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