五井機関区

五井機関区（ごいきかんく）は、千葉県市原市の五井駅構内に設けられた小湊鉄道の車両基地です。ここは、小湊鉄道線の日常的な運行を支える中枢拠点であり、様々な車両が所属しています。

所属する車両には、五井機関区に籍を置くことを示す「小コイ」という略号が車体に記されています。「小」は小湊鐵道を、「コイ」は五井を意味しており、この略号は特にキハ40形や、キハ200形のうちキハ205、キハ207、キハ208の3両に見られます。

五井機関区には、小湊鉄道で使用される多様な車両が配属されています。現在、主力のキハ200形気動車は14両が在籍していますが、うち3両は既に廃車扱いとなっています。貨物輸送や構内での作業を担うDB4形ディーゼル機関車も1両所属しています。旅客輸送を支える客車としては、ハフ101、テハ101・102、そしてクハ101号が配属されています。近年、JR東日本から譲渡されたキハ40形気動車5両が加わり、地域の風景に溶け込む塗装で活躍しています。これら動力車・客車以外にも、事業用車両として、控車のチ1111、長物車のチキ5252とチキ5254が五井機関区に所属しています。

構内には、現役車両の他に、小湊鉄道の長い歴史を物語る貴重な保存車両も多数存在します。特に目を引くのは、小湊鉄道が開業した大正時代から昭和30年代後半（1962年）にかけて活躍した蒸気機関車3両（1号、2号、B104号）です。これらは現在静態保存されており、許可を得れば見学することができます。また、構内入口付近にある検修庫の中には、1997年に引退したキハ5800形が保管されています。この車両は検修庫の外側からでも見ることが可能です。これらの保存車両群は、小湊鉄道の歩みや鉄道技術の変遷を示す重要な資料となっています。

五井機関区の施設自体にも歴史的な価値が認められています。特に、機関庫と鍛冶小屋は、小湊鉄道が開業した頃からの姿をとどめており、当時の鉄道施設建築の技術や、そこで働く人々の営みを伝える産業遺産としての側面を持っています。これらの建造物は、その歴史的価値が評価され、2016年11月18日に国の登録有形文化財への登録が答申され、2017年5月2日には正式に登録されました。

過去には、五井機関区の構内を利用した鉄道車両の運転体験会が定期的に開催され、多くの鉄道ファンや地域住民に親しまれていましたが、残念ながら2017年以降は無期限で休止状態となっています。

五井機関区は、小湊鉄道の車両運用を支える日々の業務を担う一方で、歴史的な保存車両や文化財としての価値を持つ施設を有しており、小湊鉄道の過去と現在、そして未来をつなぐ上で極めて重要な役割を果たしている拠点と言えるでしょう。

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