五十嵐美幸

五十嵐美幸（いがらしみゆき）は、1974年8月29日生まれの、東京都東村山市出身の中華料理の料理人です。現在は、東京都渋谷区西原にある中国料理店「美虎（みゆ）」のオーナーシェフを務める傍ら、食に関する様々なプロデュースも手掛けています。

幼少期から料理の世界に触れ、両親が経営する中華料理店「広味房」を手伝っていました。小学校3年生の頃には店の雑用を、14歳になる頃には父親と共に厨房に立つようになりました。東京都立農業高等学校食品製造科を卒業後、正式に料理の道へ進みます。

父親の元で修業を積む傍ら、吉祥寺にある「竹爐山房」の料理に感銘を受け、店休日を利用して週に一度、同店に通い教えを受けました。五十嵐は「料理の基礎は父から、そして医食同源や素材に対する思いやりなど、料理の心については山本さんに学びました」と語り、山本を「師匠」としています。

1997年、父親の体調が悪化し入院した際、店を一人で切り盛りしていた時に、フジテレビの料理対決番組『料理の鉄人』への出演を依頼されます。当初は父親へのオファーでしたが、事情を説明し断ったところ、「22歳の女性料理人は珍しい」と五十嵐に話が持ちかけられました。当初は難色を示したものの、「これから料理を目指す若い子たちのために」と説得され出演を決意。当時22歳での出演は最年少記録でした。番組では「中華の鉄人」である陳建一を相手にキュウリをテーマ食材として対決し、僅差で敗れはしたものの、放送後には大きな注目を集め、一躍人気シェフとなりました。

その後、2000年3月には新規開店した「広味房」祖師ヶ谷大蔵店の料理長に就任しますが、『料理の鉄人』出演後の重圧や批判、さらに「毎日食べられる健康的な中華料理」を志向する五十嵐と、それを認めない父親との対立が生まれ、注目度とは裏腹に苦悩する日々を過ごします。しかし、30歳を過ぎた頃に知人から「まず、あなたが幸せになることが一番。幸せでなければ美味しい料理は作れない」と声をかけられたことをきっかけに実家を出て、出張料理や料理教室などで働きながら開業資金を準備し、2008年に自身の店「美虎」をオープンさせました。

開店後、店は軌道に乗りますが、指定難病の一つである後縦靭帯骨化症を患ったことや、結婚・出産などのライフイベントも重なり、負担を軽減するため料理人として現場に立つ回数を減らし、企業の商品開発、食育、店舗プロデュースなどを展開するようになりました。2017年には、プロの料理人で構成された食育などを推進する一般社団法人「シェフード」に参加し、食品ロス問題にも積極的に取り組んでいます。

私生活では、自身の出演番組で担当ディレクターを務めていた男性と結婚し、40歳で出産。一児の母です。

著書には、以下のものがあります。

『五十嵐美幸の野菜中華 MIYUKI流マジックテクニック』（エンターブレイン、2010年）
『うまっ！食べるラー油　身近な材料でつくる10分レシピ』（辰巳出版、2010年）
『初めてでもシャキッ! プリッ! だれでも炒めもの達人になれる』（講談社、2011年）
『五十嵐美幸のやっぱり野菜料理よ!!: 食物繊維をおいしく食べる』（柴田書店、2012年）

また、共著として以下のものがあります。

『サラダ・サラダ・サラダ プロがつくる 166のサラダと109のドレッシング』（柴田書店、2010年）
『使える鶏肉レシピ～部位別で使いやすい。和・洋・中100品』（柴田書店、2012年）

五十嵐美幸は、自身の経験と知識を活かし、料理の世界で多岐にわたる活躍を続けています。

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