五味克夫

五味克夫（ごみ よしお）は、1924年11月17日に愛知県豊橋市で生まれ、2023年10月10日に逝去した、日本の中世史を専門とする歴史学者です。鹿児島大学の名誉教授を務め、長年にわたり教育・研究に携わりました。

東京大学文学部国史学科を1950年に卒業、1955年には同大学院を修了しました。その後、日本常民文化研究所研究員、開成学園高等学校教諭を経て、鹿児島大学文理学部、法文学部で助教授、教授として教鞭を執りました。1990年に鹿児島大学を定年退官し、名誉教授の称号を授与されました。退官後は、鹿児島女子大学教授も務めました。また、鹿児島県史料編さん顧問として、鹿児島県の歴史資料の編纂にも深く関わりました。2002年には、長年の学術研究への貢献が認められ、勲三等旭日中綬章を受章しました。

五味克夫の研究は、特に南九州の歴史に焦点を当てており、鎌倉幕府の御家人制や、戦国時代から近世にかけての島津氏一族と家臣団の研究で知られています。地域史研究の第一人者として、地方史研究に新たな視点をもたらしました。史料に基づいた実証的な研究を重視し、地域社会の構造や人々の生活を解明することに尽力しました。

主な著書には、『鎌倉幕府の御家人制と南九州』、『南九州御家人の系譜と所領支配』、『戦国・近世の島津一族と家臣』などがあります。これらの著作は、中世から近世にかけての南九州の歴史を理解する上で重要な文献となっています。また、『鹿児島県史料拾遺』シリーズの編纂にも携わり、多くの歴史資料を世に送り出しました。

五味克夫の研究は、地域史研究だけでなく、日本中世史研究全体に大きな影響を与えました。その功績は、後世の研究者によって引き継がれていくことでしょう。

著書

『鎌倉幕府の御家人制と南九州』戎光祥出版、2016年
『南九州御家人の系譜と所領支配』戎光祥出版、2017年
『戦国・近世の島津一族と家臣』戎光祥出版、2018年

編纂・監修

『鹿児島県史料拾遺 第1 加治木本田文書』鹿児島県史料拾遺刊行会、1964年
『鹿児島県史料拾遺 第10 志布志大慈寺文書,長島千竈文書』鹿児島県史料拾遺刊行会、1968年
『鹿児島県史料拾遺 16 田代家文書考』鹿児島県史料拾遺刊行会、1974年
* 『奇跡の至宝「島津家文書」 薩摩七〇〇年の歴史が見える』鹿児島県歴史資料センター黎明館、2000年

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