五式雷撃艇

五式雷撃艇と五式砲撃艇

五式雷撃艇（ごしきらいげきてい）およびその準同型艇である五式砲撃艇（ごしきほうげきてい）は、大日本帝国陸軍によって試作された小型の魚雷艇です。これらの舟艇は、主に対着上陸作戦において使用されることを想定されていました。

背景

太平洋戦争が進むにつれて、日本にとって厳しい戦況が続きました。特に戦局が悪化した後期には、連合国部隊がフィリピン諸島や日本本土に上陸する可能性が高まっていました。このような危機感から、日本陸軍は護衛や迎撃を目的とした数種類の沿岸用決戦舟艇の開発を進めました。

これらの舟艇は、敵の上陸用舟艇を水際で迎撃するために設計されており、大型艦艇に依存することなく、限られた資源の中で効果的に行動することが求められていました。

五式雷撃艇

五式雷撃艇は、一般的な小型ボートと同等の大きさを持ち、乗員は2名で構成されています。この艇の主な武装としては、両舷に簡易魚雷が2発搭載されています。これは一般的な魚雷とは異なり、火薬ロケットを使って水面上を滑走する特別な兵器です。実際には、超小型の無人自爆舟艇と称する方が適切でしょう。

艇体は合板で製造されており、機関には自動車用のものが流用されています。最大速力は22ノットから24ノットで、航続距離は約100海里に達します。

五式砲撃艇

一方、五式砲撃艇は、艇首に20mm自動砲、艇尾には20連装ロケット砲を装備しています。この艇もまた、乗員は2名で構成され、効率的に敵の上陸を妨害することを目的としています。

開発と運用

これらの舟艇の試作は1945年6月末に完了しましたが、量産化には至らず、最終的には計画が終了してしまいました。日本陸軍は、技術的な革新や新しい兵器の開発に苦しむ中、戦局に対応するための手段としてこれらの舟艇を検討していたものの、その実現には至らなかったのです。

諸元

これらの細部の情報は、松原茂生と遠藤昭が著した『陸軍船舶戦争』に記載されています。このように、五式雷撃艇と五式砲撃艇は、当時の日本陸軍が直面していた厳しい状況の中で生まれた興味深い試作舟艇です。

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