五稜郭車両所

五稜郭車両所の概要

五稜郭車両所（ごりょうかくしゃりょうじょ）は、北海道函館市にかつて存在した北海道旅客鉄道（JR北海道）の車両工場です。もともとは官営鉄道の函館工場としてスタートし、その後の時間とともに様々な変遷を経てきました。2023年3月末をもってその役割を終え、苗穂工場に業務が移管されたことによって、長い歴史に幕を下ろしました。

この車両所は、JR北海道函館支社の管轄下にあり、函館本線と道南いさりび鉄道線の分岐点として知られる五稜郭駅のすぐ西側に位置しています。主に気動車や客車の全般検査、要部検査、臨時修繕、車両の改造工事、さらには廃車や解体に関する業務が行われていました。整備を終えた車両には、「五稜郭所」もしくは略称の「GK」が記されることがありました。

組織と活動

五稜郭車両所には、総務科、技術科、検修科の三つの部門が存在し、「知恵と技術で未来への飛躍」というスローガンのもとで運営されていました。年に一度、鉄道の日に合わせて一般公開を行っており、その際には多くの地元やファンの人々が訪れるイベントとなっていました。

さらに、1985年には「国鉄」の末期において、同所が技術の向上や人的資源の効率化を目指し、函館市交通局と協力して電車の車体更新工事に取り組みました。この際、710形と500形電車の車体更新が実施され、国鉄の工場で路面電車の車体が製作される初めての試みとなりました。これらの更新作業はこの2件で終了しましたが、その後、2016年には札幌交通機械というJRグループの会社が31年ぶりに整備を行い、市電の8001号車がこの車両所に搬入されることとなりました。

歴史の足跡

五稜郭車両所の歴史は1902年まで遡ります。最初は、初代北海道鉄道として函館機関庫内に車両修繕場が設立され、その後、1907年に国有化されました。1911年には函館工場として拡張され、1913年からは札幌工場の支工場として機能を持つようになりました。1922年に現在地へ移転し、五稜郭工場という名称に改称されました。1942年には五稜郭工機部に改名され、1950年には再び工場名が戻りました。その後、様々な改称を経て、1987年にはJR北海道として運営されることとなり、最終的に2023年に廃止される運命を迎えたのです。

五稜郭車両所は、このような歴史と成長を経て、多くの鉄道ファンや地元の人々に愛され続けました。廃止の報は寂しさを伴うものでしたが、その遺産は地域の鉄道における重要な役割を果たしてきたことを示しており、今後もその記憶は引き継がれていくことでしょう。

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