井上なつゑ

井上なつゑ：看護師から政治家へ

井上なつゑ（いのうえ なつえ、1898年7月25日 - 1980年11月13日）は、日本の看護師および政治家であり、参議院議員としても知られています。彼女は看護師の地位向上に力を注ぎ、長年にわたり日本の医療界に貢献しました。

生い立ちと教育

井上なつゑは兵庫県加東郡福田村で、井上音松の娘として生まれました。彼女のキャリアは1913年、大正時代の京都産婆学校での修業から始まりました。そこで産婆検定試験に合格した後、1917年には日本赤十字社大阪支部病院の救護看護婦養成所を卒業しました。その後、彼女は看護婦長としてのキャリアを進め、1922年には同病院での看護婦長に就任しました。

キャリアの変遷

1924年には応召し、樺太陸軍病院での勤務を経て、1928年からのイギリス留学を経て、1929年にはロンドン大学ベットフォード女子専門学校の公衆衛生看護学科を卒業しました。帰国後は、日赤大阪支部病院の看護婦長や、日赤中央病院の看護婦養成部書記を歴任し、この間に女子学習院の講師や厚生省研究所の講師としても活動しました。また公衆衛生院の講師や日赤女子専門学校の主事・理事など、様々な役職を通じて看護教育の推進に寄与しました。

戦後の活動と政治家としての歩み

第二次世界大戦後の1946年には、日本の看護界の発展を目指して日本産婆看護婦保健婦協会（現在の日本看護協会）の初代会長に就任します。その後、1947年の第1回参議院議員通常選挙に全国区から出馬し、当選を果たしました。政治家としては緑風会に所属し、1期にわたって参議院議員を務めました。

受賞歴と評価

彼女の功績は高く評価され、1968年には秋の叙勲で勲三等宝冠章を受章するなど、その業績が認められました。1980年11月13日、井上は82歳でこの世を去りました。死没の日には正五位に叙され、彼女の人生と業績は日本の医療界に多大な影響を及ぼしました。

著作

井上なつゑはその生涯で多くの著作も残しました。代表作には、『保健婦事業の実際』（1942年）、『アメリカ看護事業の一端』（1951年）、そして自叙伝である『わが前に道はひらく』（1973年）などがあります。これらの著作を通じて、彼女は日本の看護実務や教育の発展に寄与しました。

参考文献

井上なつゑの人生は、当時の日本における看護師の役割と政治的な場面における女性の影響を示す重要な事例です。彼女の業績や見識は、今後の看護師や医療従事者にとっての羅針盤となるでしょう。

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