井上史雄

井上 史雄 - 言語学者の業績と貢献

井上史雄（いのうえふみお、1942年5月17日生まれ）は、山形県鶴岡市出身の日本の言語学者であり、東京外国語大学名誉教授と明海大学名誉教授として知られています。彼の専門研究は「新方言」や方言のイメージ、さらには言語の市場価値の調査に焦点をあて、多くの学生や研究者に影響を与えてきました。2023年には瑞宝中綬章を受章し、その業績が広く認められています。

学歴と職歴

井上は1961年に山形県立鶴岡南高等学校を卒業し、1965年に東京大学の文学部を卒業後、同大学院の言語学博士課程を満期退学しました。その後、東京大学文学部の助手としてキャリアをスタートさせ、北海道大学の文学部助教授を経て、1977年には東京外国語大学の助教授に就任しました。1985年には「新方言」に関する研究が評価され、金田一京助博士記念賞を受賞しました。1986年には東京外国語大学の教授に昇進し、2001年には「東北方言の変遷：庄内方言歴史言語学的貢献」により東京大学から文学博士の学位を取得しました。

2005年には東京外国語大学を定年退官し、その後名誉教授の称号を得ました。明海大学でも外国語学部日本語学科の教授を務めましたが、2013年に退職しました。

研究と著書

井上の研究領域は多岐にわたり、特に「新方言」の概念は彼の主要な業績の一つです。彼の著書には、1985年に発表された『新しい日本語--《新方言》の分布と変化』があります。この本では、新方言の分布とその変化について述べられ、多くの言語学者に影響を与えました。その他にも『敬語はこわくない 最新用例と基礎知識』（1999年）、『日本語ウォッチング』（1998年）など、多数の著作を出版しています。

彼はまた、共著作品にも多く関わっており、言語文化や現代日本語の様相に関する研究書も執筆しています。特に、共編著の『辞典<新しい日本語>』（2002年）や、デジタル社会における日本語に焦点を当てた『デジタル社会の日本語作法』（2007年）などは、現代の言語使用に関する重要な資料となっています。

受賞歴と影響

受賞歴としては、1985年に金田一京助博士記念賞を受賞した他、2023年には瑞宝中綬章を受章し、その功績が高く評価されています。これらの受賞は、彼の研究活動が日本の言語学の発展に果たした重要な役割を示しています。

彼の研究や著書は、言語学の分野だけでなく、教育や社会における言語の理解を深め、多くの学生や研究者にインスピレーションを与えています。井上史雄の功績は、今後の言語研究のみならず、言語文化の理解にも大きく寄与し続けることでしょう。

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