井上正幸 (ラグビー指導者)

生涯とキャリア

井上 正幸（いのうえ まさゆき）は、1975年4月2日に大阪府で生まれた、日本のラグビー指導者であり、かつては選手としても活躍した人物である。

選手時代

故郷である大阪府で育ち、中学校でラグビーというスポーツに出会った。高校は大阪府立大東高校でラグビーを続け、卒業後は大阪体育大学へ進学。大学でもラグビー部で活動した。

選手時代の主なポジションはスタンドオフ（SO）を務めた。体格は身長168cm、体重62kgと比較的小柄ながら、グラウンドでその能力を発揮した。ニックネームである「オルソ」は、大学卒業後に入社した医療系製品を取り扱う会社「オルソテック」に由来している。

指導者としての歩み

大学卒業後、「オルソテック」に入社し、社業に携わる傍ら、指導者としての道を歩み始めた。1998年には、自らの手でラグビークラブ「くすのきクラブ」を立ち上げ、指導者としての第一歩を踏み出した。

その後、兵庫医科大学や、全国的に知られるラグビー強豪校である京都成章高校などでコーチとして経験を積んだ。これらの経験は、後の指導キャリアに大きな影響を与えたと考えられる。

2016年には、母校である大阪体育大学にスポットコーチとして戻った。その指導力を評価され、翌2017年にはチームの指揮を執るヘッドコーチに昇格。大学ラグビーの舞台で指導者としての手腕を発揮したが、2019年に同大学のヘッドコーチを退任した。

著作活動

指導者としての経験と理論は、著作としても発表されている。ラグビー戦術に関する専門書を執筆しており、主な著書としては以下のものがある。

• - 『これまでになかったラグビー戦術の教科書』（カンゼン、2020年2月）
• - 『これまでになかったラグビー防御戦術の教科書』（カンゼン、2021年2月）

これらの書籍は、従来のラグビー指導書とは一線を画す独自の視点から戦術を解説しており、多くのラグビー関係者や愛好家から注目を集めている。

ラグビー普及・環境改善への取り組み

井上氏は、指導や著作活動にとどまらず、ラグビー界全体の発展にも目を向けている。2021年からは、7人制ラグビーの日本代表選手である林 大成氏と共に、YouTubeチャンネル「らぐびーくえすと」を開設し、情報発信を行っている。

このチャンネルでの活動の目的は、日本国内におけるラグビーを取り巻く環境の地域間格差を縮小することにある。質の高い指導理論や練習方法、ラグビーに関する様々な情報をオンラインで提供することで、地理的な制約や環境に恵まれない地域でラグビーに取り組む人々にも等しく成長の機会を提供することを目指している。指導経験に裏打ちされた理論と、現役トップ選手の視点を融合させたこの活動は、日本ラグビーの裾野を広げるための新たな試みとして注目されている。

元選手として、そして長年の指導者として培ってきた経験と知識を活かし、井上氏は現在も多角的なアプローチでラグビー界に貢献し続けている。

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