井上武吉

井上 武吉（いのうえ ぶきち）

井上武吉は、1930年12月8日、奈良県宇陀郡室生村（現在の宇陀市）に生まれた著名な彫刻家である。彼の彫刻に対する情熱は、武蔵野美術学校の彫刻科で磨かれ、1951年に入学後、早くも同年の第15回自由美術家協会展に初入選した。彼のアートキャリアはその後も続き、1953年には第17回自由美術家協会展で再度入選を果たし、1955年には同校を卒業する。

彼の作品は、時代を経ても高く評価され、1962年には第5回現代日本美術展で優秀賞を受賞した。以降、彼は同展の7、8、9回でも優秀賞を獲得し、名声を高めることとなった。さらに、1963年には第7回日本国際美術展でも優秀賞、翌年の展覧会でも再度受賞するなど、国際的な評価も得ていった。

1965年以降、現代日本彫刻展には第1回から参加し、彼の作品が広まるきっかけとなった。特に1967年に制作した靖国神社無名戦士のための記念碑「慰霊の泉」は、その深い意味と美しさが多くの人々に受け入れられた。また、1968年には第1回神戸須磨離宮公園現代彫刻展で大原美術館賞を受賞し、続く第2、第3回展でも神戸市教育委員会賞に輝いた。

1969年には、箱根にある彫刻の森美術館の設計を手掛け、1975年には池田20世紀美術館の設計も担当した。これらの業績は、彼のアートに対する情熱と理解を示すものであり、彼の彫刻がどのように公共空間に溶け込んでいったかを物語っている。

1977年には海外で個展を開催し、ベルリン美術アカデミーなどでの活動を通じて、国際的なアートシーンでもその名を馳せた。翌年には国立ベルリン美術学校の客員教授に就任し、1981年にはドイツのノイエギャラリーで個展を開催し、その後デンマークでも巡回個展を行った。1986年にはその功績が認められ、紫綬褒章を授与された。

1991年には、伊丹市地下空間で「my sky hole 91－4 ITAMI」と平和モニュメント（荒牧バラ公園）を設置し、第22回中原悌二郎賞を受賞。さらに、1992年には第17回吉田五十八賞、1995年には第45回芸術選奨文部大臣賞を受賞するなど、彼の評価は確固たるものとなった。

1997年9月26日、急性心筋梗塞により横浜市内の病院で67歳の生涯を閉じた。井上武吉の作品は、東京都庁本庁舎前の広場にある赤いアーチのように、公共の場で多くの人々に親しまれており、彼の霊感と創造性は今もなお私たちに影響を与え続けている。彼の作品は、彫刻としての美しさだけでなく、深いメッセージを込めたものとして、人々に感動を与える。」

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