井上茂子

井上茂子の学問的業績

井上茂子（いのうえ しげこ、1954年生まれ）は、日本で数少ない西洋史の専門家の一人として広く知られています。彼女は歴史学者および翻訳家として、多大な貢献をしており、上智大学の名誉教授として、西洋近現代史の教育に携わってきました。

経歴

井上茂子は山口県に生まれ、彼女の学びは東京大学から始まります。1976年に同大学の教養学部を卒業後、大学院で博士課程を修了し、その後1985年にはミュンヘン大学でも学びました。1986年に東京大学の助手に就任し、その後、姫路獨協大学で講師を経て、1990年には助教授として教壇に立ちました。1997年には上智大学文学部の助教授、さらには教授に昇進し、2023年には名誉教授の称号を得ています。彼女の専門領域は、西洋の近現代史に特に重点が置かれていて、学生たちに深い知識と理解を伝えることに尽力しています。

受賞歴と研究活動

井上は2004年に『ホロコースト事典』を翻訳し、日本翻訳出版文化賞を受賞しました。この成果は、単なる翻訳にとどまらず、彼女の歴史研究に対する深い理解を示しています。彼女の研究は、広範な学問領域を網羅しており、特にナチスドイツやホロコーストに関する研究が著名です。

所属学会

井上は多くの学会に所属しており、社会経済史学会、日本国際政治学会、日本西洋史学会、日本ドイツ学会などで活躍しています。また、現代史研究会の運営委員長としても協力し、学界への貢献を行っています。

主な著作と翻訳

井上茂子は、以下のような共編著や翻訳書を手がけています。

• - 『1939 ドイツ第三帝国と第二次世界大戦』（共著、1989年）
• - 『近代ドイツの歴史 18世紀から現代まで』（共編著、2005年）
• - 『ドイツ文化史入門 16世紀から現代まで』（共編著、2011年）
• - 『女の皮膚の下 18世紀のある医師とその患者たち』（翻訳、1994年）
• - 『ヨーロッパ・ユダヤ人の絶滅』（共訳、1997年）
• - 『ホロコースト大事典』（共訳、2003年）

これらの業績は、西洋の歴史や文化を学ぶ上での重要な文献となり、多くの研究者や学生に影響を与えています。

主な論文

さらに、井上は数多くの論文を執筆しています。特に以下の論文は、彼女の研究の深さを示しています。

• - 「ドイツ人の「過去の克服」の旅」
• - 「「ヒトラーの日記」事件 - 史料批判の力 -」
• - 「社会国家の歴史におけるナチ時代」
• - 「ナチ体制下のカトリック教徒」
• - 「記憶の中の過去と記録の中の過去」
• - 「ナチ党の労働者政策」

結論

井上茂子は、学問の世界において重要な役割を果たし続けています。彼女の広範な研究や翻訳は、新たな視点を提供し、歴史を深く理解するための礎を築いています。西洋史の専門家としての彼女の足跡は、教育界や研究界において長く語り継がれることでしょう。

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