井上誠午

井上 誠午

井上 誠午（いのうえ せいご）は、1986年10月8日に熊本県熊本市で生まれた日本の男性総合格闘家です。現役選手としてリングに上がりつつ、地元熊本では和術慧舟會セイゴ道場を主宰し、指導者としても活動しています。

キャリアの始まり

井上選手が格闘技の世界でプロの道を志したのは、まだ若き日でした。2002年、彼はその夢を追って故郷熊本を離れ、単身で上京を決意します。総合格闘技の名門として知られる和術慧舟會の門を叩き、星野勇二氏が率いるGODS支部に入門。プロ格闘家としての基礎を築き始めました。

アマチュアからプロへの道

和術慧舟會GODSでの厳しい研鑽を積んだ後、井上選手はまずアマチュアの舞台で頭角を現します。2005年のJTC（Japan Team Challenge）九州大会では見事優勝を果たし、その勢いのままJTC全国大会へ駒を進めました。全国大会では67kg未満級で決勝に進出。惜しくも同門の齋藤裕俊選手に敗れ準優勝に終わりましたが、全国レベルでの実力を示しました。

このアマチュアでの実績を経て、彼はプロの舞台へと足を踏み入れます。2005年12月には、国内主要総合格闘技団体DEEPが主催するフューチャーキングトーナメント2005に出場。プロキャリアの緒戦となりましたが、1回戦で児山佳宏選手に判定で敗れ、プロの洗礼を受ける形となりました。

翌2006年2月には、こちらも日本の老舗団体であるパンクラスが開催するネオブラッド・トーナメント2006に参戦。しかし、ここでも予選1回戦で翔侍選手に判定で敗れ、プロキャリアの初期は厳しい戦いが続きました。

フューチャーキングでの快進撃と栄冠

苦しいスタートを切った井上選手でしたが、彼のポテンシャルが開花したのは2008年でした。2008年1月に行われたDEEPフューチャーキングトーナメント2007に、70kg以下級で再びエントリーします。このトーナメントで井上選手は圧倒的な強さを見せつけました。LUIZ選手らを相手に、出場した5試合すべてにおいて一本勝ちを収めるという驚異的なパフォーマンスを披露。並み居る強豪を次々と極め、見事にトーナメント優勝の栄冠を掴み取りました。

この優勝は、彼のキャリアにおける大きな転換点となりました。一本極めの高い技術と、それをやり遂げる強い意志をプロの舞台で証明したのです。

その後の挑戦と故郷での活動

フューチャーキング優勝後、井上選手は再びDEEPのリングへ上がります。2008年2月のDEEP 34 IMPACTではBarbaro44選手と対戦。熱戦の末、判定ドローという結果に終わりました。

2009年1月には、日本のトッププロモーションの一つであった「戦極（SENGOKU）」に初参戦。戦極の乱2009のオープニングファイトという大舞台で、強豪マキシモ・ブランコ選手と拳を交わしますが、踏みつけによるTKO負けを喫しました。

総合格闘家として国内外の舞台で経験を積む一方、井上選手は新たな活動も始めます。2009年11月、彼は自らの故郷である熊本市に、自身の名を冠した「和術慧舟會セイゴ道場」を設立しました。これは、自身を育ててくれた格闘技への恩返しであり、地元熊本から未来の格闘家を育てたいという彼の強い思いから実現したものです。道場設立以降、選手としての活動と並行して、指導者としても精力的に活動しています。

故郷での活動としては、2010年11月に地元熊本で開催された格闘技イベント「激突III」にも出場。ここでは総合格闘技ルールではなく、グラップリングルールで角田裕亮選手と対戦し、時間切れによるドローとなりました。

選手としてはしばらくリングから離れていましたが、2012年12月、DEEP CAGE IMPACT 2012 in TOKYOで約4年ぶりにMMA（総合格闘技）の試合に出場。梅田恒介選手との復帰戦に臨みましたが、判定で敗れました。

選手としてのキャリアを通じて、井上誠午は一本極めを得意とするグラウンド技術と、どんな相手にも立ち向かう闘志を見せてきました。現在は和術慧舟會セイゴ道場の主宰として、その経験と技術を若い世代に伝え、熊本の格闘技界の発展に貢献しています。彼の活動は、プロ格闘家という枠を超え、地域に根差したスポーツ振興という側面も持ち合わせています。

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