井戸敏三

井戸敏三: 兵庫県を牽引した政治家

井戸敏三（いど としぞう、1945年8月10日生まれ）は、日本の自治・総務官僚および政治家であり、兵庫県知事として5期20年にわたり県政を牽引しました。彼は兵庫県の地域社会に大きな影響を与え、知事退任後も公益財団法人ひょうご震災記念21世紀研究機構の特別顧問として活動しています。

経歴

井戸は兵庫県揖保郡新宮町（現在のたつの市）で生まれ、幼少期に神奈川県横浜市へ転居しました。横浜に転校した新宮小学校時代には将来の法曹界を担う試練を受ける友人も居たといいます。1964年に東京都立日比谷高等学校を卒業後、1968年に東京大学法学部を卒業し、自治省（現在の総務省）に入省しました。

その後、井戸は多くの要職を歴任し、1996年から2001年まで兵庫県の副知事を務めました。2001年に兵庫県知事選挙に立候補し初当選。以降、彼は県知事としてさまざまな政策を推進し、特に震災後の復興に力を注ぎました。

井戸県政の成果

就任当初、兵庫県は阪神・淡路大震災の影響で厳しい財政状況に直面していました。井戸は「改革の断行なくては兵庫の再生はない」という信念のもと、行財政改革を進めました。職員数を削減し、給与の引き下げを行い、助成事業の見直しをしました。その結果、2018年度には震災後初めて収支均衡を達成しました。

井戸知事の時代には数多くの重要なプロジェクトが実施されました。男女共同参画社会づくり条例の制定や兵庫県立美術館の開設、人と防災未来センターの設立など、各種施設の充実も図られました。また、震災復興に関し、借り上げ復興住宅の問題への対処を行い、被災者支援の体制を整備しました。

政策、主張と社会的影響

井戸は道州制に反対であり、地方自治体の権限を守ることを重視しています。特に、大阪府知事の橋下徹が提唱した伊丹空港廃港案には強く反対し、逆に神戸空港の滑走路増設を主張しました。また、朝鮮学校に対する補助金支給を行ったことでも知られていますが、その後の減額の流れもありました。彼は大阪維新の会の大阪都構想に対しても否定的な立場を取り、地域振興のために手段を選ばないことには反対しています。

エピソードと波紋

井戸は多くの発言で物議を醸しました。特に、震災を巡る発言や、NHK大河ドラマ『平清盛』への批判では、県民からの反発を受けることもありました。また、新型コロナウイルス感染症の対策として、「扇子・うちわ会食」を提案した際にも批判を浴び、施策を撤回する事態に至りました。

まとめ

井戸敏三はその長い政治経歴の中で、兵庫県における震災復興と県民生活の向上に尽力した著名な政治家です。彼の政策や発言は多くの注目を集め、時に批判の的になりましたが、地域社会への貢献は確かなものとして評価されています。現在も多彩な活動を行っており、兵庫県の未来を考える上で欠かせない存在であると言えるでしょう。

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