井筒雄三

井筒雄三：日本電気硝子を率いた実業家の生涯

井筒雄三氏は、平成時代の日本を代表する実業家の一人として、日本電気硝子の発展に大きく貢献しました。1944年12月12日、京都府に生まれた井筒氏は、同志社大学経済学部を卒業後、1967年に日本電気硝子に入社。同社において、長年にわたり要職を歴任し、日本のガラス産業にその名を刻みました。

入社後は、CRT事業本部長として、テレビやパソコンのブラウン管製造の中核を担う部署を率いました。その手腕は高く評価され、1996年には取締役に就任。その後、2000年には常務取締役、2002年には取締役専務執行役員へと着実にキャリアを積み重ねていきました。そして2003年6月、日本電気硝子社長に就任。企業のトップとして、経営の舵取りを担うことになります。

社長在任中は、数々の困難な課題に果敢に挑戦しました。特に記憶に残る功績として挙げられるのが、2009年3月の世界最薄ガラスの試作成功です。その厚さはわずか30マイクロメートル。この技術革新は、世界中のガラス業界に衝撃を与え、日本電気硝子の技術力を改めて世界に示すこととなりました。この技術は、後のディスプレイ技術の発展にも大きく貢献しました。

社長職を10年務めた後、2010年6月には会長に就任。さらに、2015年3月には相談役に退き、長年にわたる企業への貢献に幕を閉じました。しかし、その功績は日本電気硝子、ひいては日本のガラス産業全体に多大な影響を与え続けました。

井筒氏の活躍は、日本電気硝子社内にとどまりませんでした。滋賀県立大学非常勤理事やガラス産業連合会副会長なども歴任し、産業界全体への貢献も惜しみませんでした。これらの活動を通して、日本のガラス産業の発展に尽力し、業界全体を牽引する存在として広く知られていました。

2017年12月1日、癌のため62歳で逝去されました。彼の死は、日本の産業界に大きな衝撃を与えました。しかし、井筒雄三氏が日本電気硝子に残した功績、そして日本のガラス産業発展への貢献は、長く人々の記憶に刻まれることでしょう。彼のリーダーシップと技術革新への情熱は、後進の経営者たちにとって、今もなお大きな指針となっています。

参考文献
興信データ株式會社『人事興信録 第43版 上』興信データ、2005年。https://books.google.co.nz/books?id=fEM0AQAAIAAJ

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