亜ジチオン酸ナトリウム

亜ジチオン酸ナトリウムについて

亜ジチオン酸ナトリウム（Na2S2O4）は、亜ジチオン酸のナトリウム塩であり、通称次亜硫酸ナトリウムやハイドロサルファイトとも呼ばれます。本記事では、亜ジチオン酸ナトリウムの化学的性質、製法、用途、危険性、歴史について詳しく解説します。

化学的性質

亜ジチオン酸ナトリウムの無水物は白色の結晶であり、わずかに亜硫酸ガスの刺激臭があります。水に非常に溶けやすく、エタノールにもわずかに溶解します。無水物はC2対称構造をとり、特有のねじれ角を持っています。一方、二水和物は黄色味を帯びた柱状結晶で、空気中では酸化されやすく不安定です。無水物を90°C以上に加熱すると、硫酸ナトリウムと二酸化硫黄に分解し、150°Cでは激しく反応します。また、湿気と接触すると、引火のリスクがありますが、単に湿気と接触した場合は分解は僅かです。

水溶液中での分解

亜ジチオン酸ナトリウムの水溶液は酸性で、温度が高いうちに素早く反応し、チオ硫酸ナトリウムを生成します。酸性度が高いと分解速度も増加します。酸素がある環境ではさらなる反応が進行し、硫酸水素ナトリウムを生成することが知られています。

製法

亜ジチオン酸ナトリウムの製法はいくつかありますが、主に亜鉛塵法とギ酸ソーダ法が広く使用されています。亜鉛塵法では、亜鉛粉末を水に懸濁し、二酸化硫黄を通すことで亜ジチオン酸亜鉛を生成します。その後、アルカリ性の処理を施し、無水物を析出させます。一方、ギ酸ソーダ法では、メタノールにギ酸ナトリウムを溶解し、二酸化硫黄を加えることで、効率よく無水物を生成します。

用途

亜ジチオン酸ナトリウムは、強い還元性を持ち、還元剤や漂白剤として広く利用されています。特に、染色工程においては不溶性の染料を可溶化するために用いられます。また、食品添加物としても利用され、漂白剤や保存料として機能しますが、一部の食品に対して使用が禁じられています。

危険性

亜ジチオン酸ナトリウムは自然発火性物質として分類されており、取り扱いには注意が必要です。経口摂取による毒性は比較的低いですが、皮膚や目に対して刺激性があり、酸性条件下では呼吸器系への刺激を引き起こす可能性があります。

歴史

亜ジチオン酸ナトリウムは1718年に偶然発見され、その後様々な用途が開発されてきました。特に、19世紀には多くの実用化が進みました。第二次世界大戦以降、亜鉛を使用しない製法が増え、特に20世紀後半には亜鉛塵法やギ酸ソーダ法が主流となりました。

このように、亜ジチオン酸ナトリウムは多様な性質と用途を持つ化合物であり、工業や食品業界での重要な役割を果たしています。

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