亜麻色の髪の乙女 (ヴィレッジ・シンガーズの曲)

亜麻色の髪の乙女：長く愛される名曲の軌跡

1968年、ヴィレッジ・シンガーズによって発表された「亜麻色の髪の乙女」は、日本の音楽史に刻まれた名曲と言えるでしょう。その歴史は、意外にも複雑で興味深いものです。一般的にはヴィレッジ・シンガーズのヒット曲として認識されていますが、実は、それ以前から存在していた楽曲なのです。

青山ミチと幻のシングル「風吹く丘で」

この楽曲の原曲は、1966年に青山ミチがレコーディングした「風吹く丘で」です。しかしながら、発売を目前に青山ミチが逮捕されたことにより、この曲は世に出ることなくお蔵入りとなってしまいました。この運命のいたずらによって、「亜麻色の髪の乙女」は長い間、日の目を見ることのなかった幻の楽曲として存在していたのです。

ヴィレッジ・シンガーズによる新たな息吹

それから数年後、ヴィレッジ・シンガーズがこの楽曲に新たな息吹を吹き込みました。彼らは「風吹く丘で」を「亜麻色の髪の乙女」と題し、シングルとして発売。このバージョンは瞬く間に人気を博し、多くの人々の心を掴みました。彼らの歌声とアレンジによって、「風吹く丘で」は新たな魅力を纏い、世代を超えて愛される名曲としての地位を確立したのです。

島谷ひとみによる大ヒットカバー

しかし、「亜麻色の髪の乙女」が真に広く知られるようになったのは、2002年の島谷ひとみによるカバー版の登場以降です。花王のCMソングとして使用されたこのカバーバージョンは、オリコンチャートで最高4位を記録する大ヒットを飛ばし、30万枚以上のセールスを記録しました。このヒットによって、「亜麻色の髪の乙女」は、新たな世代のリスナーにも広く浸透するに至ったのです。島谷ひとみ版の成功は、原曲の持つ普遍的な魅力と、彼女の表現力の高さを証明するものでした。

様々な展開と更なる人気

島谷ひとみによるカバーの成功は、「亜麻色の髪の乙女」の更なる展開を促しました。2003年には、ヴィレッジ・シンガーズ自身によるセルフカバー盤が発売されました。さらに、この曲は東武伊勢崎線伊勢崎駅の発車メロディーとして採用されるなど、私たちの日常に溶け込む形で存在感を増していきました。JASRAC賞を受賞するなど、その音楽的な価値も高く評価されています。

複数のアーティストによる解釈

「亜麻色の髪の乙女」は、様々なアーティストによってカバーされ、アレンジされています。各アーティストの個性や解釈によって、楽曲は異なる魅力を放ち、その多様性もまた、この曲が長く愛され続けている理由の一つと言えるでしょう。

長い歴史と普遍的な魅力

「亜麻色の髪の乙女」は、複雑な歴史と数々のカバー、アレンジを通して、時代を超えて愛される名曲として存在し続けています。その魅力は、原曲の持つ普遍的な美しさ、そしてそれを受け継ぎ、新たな解釈を加えるアーティストたちの才能によって、さらに深まっています。これからも、この曲は多くの人々の心を魅了し続けることでしょう。

脚注

青山ミチの「風吹く丘で」は、2011年に発売されたアルバム『GOLDEN☆BEST 青山ミチ』で初めて世に出ました。
島谷ひとみは、この曲のヒットにより、『NHK紅白歌合戦』に初出場を果たしました。
ヴィレッジ・シンガーズは、島谷ひとみ版のヒットをきっかけに、バンド活動を再開しました。
2002年には、ヴィレッジ・シンガーズの元ボーカルを騙る詐欺事件が発生しました。
* 「亜麻色の髪の乙女」は、オーケストラアレンジ版も存在し、コンサートで演奏されています。

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