交響詩ひめじ

交響詩ひめじ

『交響詩ひめじ』は、川口汐子による詩と池辺晋一郎による楽曲から成る合唱組曲で、1989年に姫路市の市制100周年を記念して作成されました。この作品は、地域に愛され、長く歌われる「ふるさと讃歌」としての役割を持っています。地元の出身者である川口が作詞を担い、音楽界で広く知られる池辺が作曲を手掛けたことから、地域の文化を編纂する意義深い作品に仕上がっています。

作品の多様性

『交響詩ひめじ』は、混声合唱や女声合唱による演奏が可能であり、ピアノ伴奏版、吹奏楽伴奏版、そして吹奏楽のみの版も存在するため、さまざまな形で演奏されることができます。このような多様な演奏スタイルは、地域の合唱団や音楽愛好者に深く受け入れられ、活発に歌い継がれています。

楽曲構成

この合唱組曲は全4楽章からなり、それぞれが姫路の歴史や文化を色濃く映し出しています。第1楽章「姫路のあけぼの」は、ひめじの美しい自然を描写し、第2楽章「城―千姫によせて」では、戦争でも焼失を免れた姫路城の歴史を、運命を共にした千姫に重ね合わせています。第3楽章「こどもの祭」では、地域の秋まつりを背景に、子どもたちの元気な姿を歌い上げ、最後の第4楽章「栄光の世紀へ」では、未来への希望を表現しています。

合唱コンクールの開催

『交響詩ひめじ』を長く歌い継ぐという目的の下、毎年2月には「交響詩ひめじ合唱コンクール」が姫路市内のパルナソスホールで開かれています。1991年に第1回が開催され、2020年までに30回を数えるなど、多くの合唱団が参加し、応募の門戸が広く開かれています。

このコンクールは、合唱団の人数や編成に制限を設けず、「小学生・中学生の部」と「高校生・一般の部」に分かれ、それぞれのカテゴリーで課題曲と自由曲を演奏します。課題曲として選ばれるのは『交響詩ひめじ』の4楽章のいずれかで、自由曲は5分以内で、曲目や曲数に制約はありません。優れた演奏には賞が贈られ、最優秀賞や優秀賞、池辺晋一郎特別賞等の表彰が行われます。

交流の場

コンクールで入賞した団体は、翌月に開催される「交響詩ひめじ演奏会」に参加し、姫路交響楽団と共に演奏を行います。ここでは、コンクールとは異なり参加団体同士が交流し、地域の音楽を共に楽しむ機会が提供され、地域の文化を今に受け継ぐ重要な場となっています。

結び

以上のように、『交響詩ひめじ』は姫路市を象徴する楽曲であり、合唱コンクールを通じて歌い継がれることは、地域の歴史や文化を次世代に伝える貴重な取り組みとなっています。国際交流を図る財団が主催し続けるこの音楽イベントは、多くの人々に地域愛を育むとともに、新たな音楽文化の発展を促しています。

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