京成バス千葉営業所

京成バス千葉営業所は、千葉県四街道市吉岡に所在する京成バスの拠点です。主に千葉市東部および四街道市内の一般路線バスを担当するほか、関東近県と成田国際空港を結ぶリムジンバスや、都心方面への高速バスも運行しています。営業所の敷地内には御成台車庫が併設されており、また千城台には折り返し専用の車庫も設けられています。地域輸送の主力は、千葉大学医学部附属病院へのアクセスを担う大学線や、千葉駅と小倉台、千城台、御成台といった団地方面を結ぶ各路線です。社内における営業所を示す記号は「5」が使用されており、登録ナンバーは千葉ナンバーです。

沿革

千葉営業所の歴史は、1930年（昭和5年）5月10日に京成電気軌道の子会社として設立された京成乗合自動車に始まります。京成はバス事業参入にあたり、既存の3社（千葉バス、両総自動車、東葛乗合）を買収しましたが、事業の将来性が不透明だったため、当初は直営ではなく子会社に経営を委ねました。その後、直営バス事業が好調に推移し、バス業界も活性化したことから、京成電気軌道は1934年（昭和9年）3月1日に京成乗合自動車を吸収合併し、現在の千葉営業所として直営化を開始しました。当時の営業所は初代京成千葉駅前（現在の中央公園付近）にあり、船橋、国府台、東金には出張所が置かれていました。

一方で、路線網の基盤となるもう一つの流れは、1925年（大正14年）7月10日設立の千葉市街自動車です。この会社は戦前の千葉市内で中心的なバス運行を担っており、初期は千葉駅（当時の要町、現市民会館付近）から本町通りを経由して大学病院や寒川方面へ向かう路線を展開しました。その後、新町、新宿方面への拡張や循環線の運行を開始し、穴川、貝塚、五田保、千葉寺、出洲海岸など周辺地域への路線網を整備しました。1938年（昭和13年）までに、現在の四街道市に本拠を置く四街道乗合自動車（1932年設立、当初は千代田乗合自動車）を合併し、四街道駅起点の路線を引き継ぎました。同時期には、千葉駅 - 農事試験場線を高品、原町、鎌池方面へ延長し、千葉 - 四街道間の運行も開始しています。

これらの千葉市街自動車の路線は、戦時下の交通統制により、京成を主体とした千葉市周辺のバス事業統合の一環として、1944年（昭和19年）8月25日に千葉営業所に吸収されました。こうして、現在の千葉営業所の路線網の基礎が築かれ、終戦を迎えました。

戦後は、休止路線の復旧と並行して新路線の開設が進みました。特に市街地の路線網が拡大し、戦後まもなく稲毛 - 作草部 - 京成千葉駅間の市街線が開通。1950年代には、西千葉、作草部、千葉港、穴川、亥鼻、黒砂方面など、人口が急増した地域を中心に新線が次々と開設されました。これらの多くは、中心市街地を貫通するルートをとっていたのが特徴です。郊外でも、新八街線や宮田線が開通し、千葉市東部への路線網が広がりました。また、国道16号を経由して八千代方面への路線拡張も進みましたが、これらは後に長沼営業所として分離されました。

戦後の急速な路線・車両増加と、戦災復興計画による駅移転に伴い、千葉営業所は昭和30年代に2度の移転を経験します。まず1955年（昭和30年）に従来の京成千葉駅前から新町（現そごうオーロラモールジュンヌ付近）へ移転。1957年（昭和32年）には京成千葉駅が本千葉町に移転し、京成と小湊鐵道のバスターミナルが整備されたことで、周辺路線のルート変更や新ターミナル起点の路線拡充が行われました。特に四街道市や佐倉市西部方面への新設路線が目立ちました。1963年（昭和38年）には国鉄千葉駅が現在地に移転し、大学線が新駅への乗り入れを開始しました。翌1964年（昭和39年）、駅周辺の整備事業に伴い、千葉営業所は広大な車庫用地を確保するため、新宿町（現ちばシティバス本社・営業所跡地）へ移転しました。

1969年（昭和44年）には、北西部の草野車庫が長沼営業所として独立。翌1970年（昭和45年）には、東部の千城台に千城台車庫が完成しました。

1980年代は京成直営の路線が多く、千葉営業所は大規模拠点でしたが、1988年（昭和63年）の千葉都市モノレール開業以降、路線の見直しが進みました。1991年（平成3年）のモノレール千葉駅延伸後、並行する路線は廃止や再編成が行われました。1998年（平成10年）、新宿車庫は子会社のちばシティバスに引き渡され、新設の御成台車庫が本所となりました。その後、収益性のある路線のみが京成バス本体に残り、多くの路線がグループ会社に順次移管され、現在の体制が確立されました。

現行一般路線

大学病院線

千葉駅と千葉大学医学部附属病院を結ぶ主力路線です。沿線の通勤・通学客や病院利用者が多く、終日混雑します。日中はおおむね7分に1本、平日朝は4〜6分間隔で運行される高頻度路線です。この路線は、大正末期に千葉市街自動車が開設した、千葉市街地における最も古いバス路線のひとつに由来します。戦時統合で京成の運行となり、その後のグループ会社への移譲が進む中で、京成直営路線として残された唯一の市街地路線です。南矢作まで運行する便の一部は、朝晩や深夜に大学病院を経由しないルートとなります。最南端は南矢作ですが、京成バス全体で見ても東京都・千葉県に広がる路線網の最南端にあたります。

小倉団地線、ほおじろ線

若葉区の小倉台・千城台住宅地と千葉駅を結ぶ主要路線群です。小倉団地へのバス乗り入れは1966年に始まり、その後千城台への延伸やルート変更を経て、両団地を結ぶ輸送を担っています。当初は国道51号経由の便が中心でしたが、1981年にはほおじろ台を経由するルートが開設され、現在は両者がほぼ同数運行されています。モノレール開業や営業所移転に伴うルート変更を経て、現在の運行形態となりました。日中は毎時3本程度運行されます。

都町中通り線

千葉駅から都町中通りを経由し、主に千城台の公営住宅地区を経由して御成台車庫へ向かう路線です。旧都賀線と延命寺線をルーツとし、幾度かの経路変更を経て1999年に現在のルートとなりました。

都賀線

都賀駅と小倉台四丁目、鷹の台四丁目を経由し、御成台車庫を結ぶ比較的新しい路線です。2000年に運行を開始しました。

情報大直通線

千葉駅と東京情報大学を直結する路線です。平日のみ運行され、本数は限られています。

マリンスタジアム臨時バス

ZOZOマリンスタジアムでのイベント開催時に、海浜幕張駅との間を結ぶ直通臨時バスが運行されます。

高速路線

成田国際空港へのリムジンバスを主力としており、主に東京都、神奈川県、千葉県、埼玉県方面への路線を担当しています。また、東京駅や東雲車庫と千城台・御成台地区を結ぶ「マイタウン・ダイレクトバス」や、富士急ハイランド、御殿場プレミアム・アウトレット方面への短距離高速バスも運行しています。これらの高速路線は、共同運行会社との協力により運行されています。

車両

一般路線バスと高速バスの両方を担当するため、様々な車両が配置されています。一般路線車は、いすゞ自動車製の大型車（エルガ）が中心で、日野自動車製の車両も少数在籍します。環境対応車として、いすゞエルガハイブリッドや日野ブルーリボンシティハイブリッドも配置されています。一部の車両には、持ち手が三角形のオレンジ色の吊革が採用されているなどの特徴が見られます。過去にはいすゞキュービックや富士重工業製車体架装車も多く在籍していましたが、現在は一部がグループ会社に譲渡されています。高速路線車両は主に三菱ふそう製（エアロエース、エアロバス）が配置されており、多くの路線を担当するため配置台数も多いです。

かつては、多くの一般路線バスが京成グループ各社（ちばシティバス、千葉内陸バス、千葉中央バス、千葉海浜交通、ちばフラワーバスなど）に移管されました。

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