京成700形電車

京成700形電車

京成700形電車は、京成電鉄及び新京成電鉄に在籍した通勤形電車です。モハ700形とクハ2200形から構成されています。本記事では、新京成電鉄へ譲渡された後の700形についても解説します。

登場時の概要

1954年、モハ701～704とクハ2201～2204の計8両が汽車会社と帝國車輛で製造されました。これらの車両は、当時の最新技術を盛り込んだ試作的な要素を多く含んでいました。その中でも、モハ704とクハ2203は、特に革新的な設計が採用されました。

モハ701～703とクハ2201～2202・2204は、2100形と同様の半鋼製車体でしたが、車体長が200mm延長され、前面窓ガラスがHゴム支持となるなど、細部に変更が見られました。また、通勤形車両としては初めて車内照明に蛍光灯を採用し、当時の最新トレンドを取り入れました。

駆動方式は釣り掛け式でしたが、多段制御器と弱め界磁制御を採用することで、従来の車両に比べてスムーズな起動と加速を実現しました。台車は汽車会社製のKS-107を使用しています。

青電グループに属する車両のうち、多段式制御装置を搭載したグループは、グループ内での併結が可能でしたが、マスコンの仕様が異なるため、200形との併結はできませんでした。そのため、「広義の700系」と呼ばれることもありました。

モハ704-クハ2203

モハ704とクハ2203は、帝國車輛が製造した高張力鋼を使用した張殻構造の全金属製軽量車体の試作車として製造されました。そのため、車体は他の700形とは大きく異なり、戸窓配置や側窓・間柱の寸法、雨樋の位置などが750形に類似していました。製造当初は他の車両と同様に釣り掛け駆動方式でしたが、運用開始後すぐに下回りが交換されました。

以降は、モハ701～703・クハ2201・2202・2204を「標準型」、モハ704-クハ2203を「試作車」として、それぞれの変遷を記述します。

標準型の変遷

1954年：クハ2204が新性能化で余剰となったモハ704の電装品を転用して電動車化され、モハ706となりました。モハ703とモハ706は、クハ2100形のクハ2110とクハ2111(いずれもマスコンを交換)と編成を組みました。
1961年～1963年：全車両に対して全金属化工事が実施されました。
1969年～1970年：特別修繕が実施され、前照灯のシールドビーム化、クハ2201・クハ2202・クハ2110・クハ2111の運転台撤去（付随車化）などが行われました。付随車となった車両の車体表記はサハとはならずクハのままでした。
1975年：モハ701～703、モハ706、クハ2201が新京成電鉄に譲渡されました。これらの5両は、同時に譲渡されたクハ2201と6両編成を組成して使用されました。クハ2202はこの時廃車となりました。

多段制御器を搭載していたため、新京成電鉄では他の旧型車との互換性がなく、異端車扱いとなりました。1985年に新京成電鉄で最後の車両が廃車となり、形式消滅しました。

モハ704-クハ2203の変遷

1954年：運用開始後すぐに電装品と台車が交換され、発電ブレーキ付きの新性能車となりました。このことから「704系」とも呼ばれました。台車と駆動方式はKS-110X/TDカルダン（汽車会社/東洋電機製造）を使用しました。

2両のみの単独運用で使用されましたが、「広義の700形」に含まれ、カルダン駆動の下回りも共通だった750形や新性能化後の210形とも併結可能だったことから、これらの車両と組み合わせて使用されることもありました。

1968年：アルミ製車体で多段式制御器（発電ブレーキなし）を装備したクハ1601とモハ1602を中間に挟み、モハ704-クハ1601-モハ1602-クハ2203の4両編成となりました。

3500形の増備が開始され、750形が消滅した後の1974年には一般運用から外れ、行商専用車へと転用されました。この時クハ1601を外し、3両編成となりました。車内窓ガラスに保護棒が取り付けられ、座席が撤去されるなどの改造が施されました。

* 1981年：モハ1602が編成から外れ、翌1982年にモハ704とクハ2203も廃車となり、青電色最後の車両となりました。

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