京王デハ1900形電車

京王デハ1900形電車は、1953年から1954年にかけて京王帝都電鉄井の頭線に導入された通勤形電車です。1901から1913までの13両が製造され、吉祥寺向きと渋谷向きに配置されました。

車両概要

外観

2700系をベースに井の頭線向けに設計されており、前面は2枚窓の湘南スタイルを採用しています。前面窓上には尾灯、下部にはアンチクライマーが設置され、独特の表情を作り出していました。側面は片開き3扉で、窓配置はd1D4D4D2となっており、1800系までの流れを汲んでいます。

構造

主要機器は、主電動機にMT-40B形（端子電圧750V時出力142kW）、台車に日立KBD-107形を採用しています。KBD-107形台車は、下天秤方式ウィングばね軸箱支持と外吊り形オイルダンパー付きコイルばねを備え、乗り心地の向上に貢献しました。

編成

1909・1910・1913は、後に運転台が撤去され中間電動車化改造されました。このうち1913号車は運転台部分が客室化されましたが、1909号車と1910号車は機器類と乗務員室と客室の仕切りを撤去したのみで、外観は先頭車時代と変わらず、異彩を放っていました。

運用と終焉

井の頭線で長らく活躍しましたが、3000系の増備に伴い、晩年は朝ラッシュ時専用となりました。1984年1月22日にさよなら運転が行われ、惜しまれつつ引退。これにより、井の頭線から吊り掛け駆動車が姿を消しました。

その後

廃車後、装備されていたKBD-107台車とMT-40B形電動機は、三岐鉄道601系や総武流山電鉄1200形に再利用されました。しかし、これらの車両も既に廃車されており、その面影を偲ぶことはできません。

京王デハ1900形は、短い期間ではありましたが、井の頭線の輸送を支え、多くの人々に親しまれた車両でした。

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