京都大学大学院理学研究科附属飛騨天文台

飛騨天文台について

飛騨天文台は、岐阜県高山市の標高の高い場所に位置する天文台で、京都大学大学院理学研究科附属天文台の観測所の一つです。同じく京都大学の施設である花山天文台（京都市山科区）が市民に親しまれる公開天文台であるのに対し、飛騨天文台はより専門的な観測研究を目的としています。

歴史

初期には京都大学構内に設置された小型望遠鏡から観測が始まりました。その後、花山天文台や生駒山太陽観測所（閉鎖済）に子午環や反射望遠鏡が導入されましたが、京都市の都市化に伴い、より観測に適した場所として、北アルプス山頂付近に飛騨天文台が設立されました。これに伴い、60cm反射望遠鏡が移設され、本格的な観測が開始されました。

主な沿革は以下の通りです。

1929年10月：花山天文台設立
1941年7月：生駒山太陽観測所設立
1968年11月：飛騨天文台設立、60cm反射望遠鏡を移設
1972年3月：生駒山太陽観測所閉鎖

施設概要

飛騨天文台には、研究者のための宿泊施設、データ解析室、研修室、計算機室などを備えた本館のほか、以下のような観測装置があります。

60cm反射式天体望遠鏡：主に微光天体の観測に用いられます。
65cm屈折式天体望遠鏡：惑星科学観測に使用されます。
ドームレス太陽望遠鏡（DST）：口径60cmのクーデ式太陽専用望遠鏡で、カールツァイス社製です。国内屈指の大きさの太陽像を得ることができ、光路を真空にすることで揺らぎを極限まで減らしています。
フレア監視望遠鏡（FMT）：かつては太陽フレア観測に使用されていましたが、現在はペルー国立イカ大学太陽ステーションに移設されています。
太陽磁場活動研究望遠鏡（SMART）：2003年に設置された、20cmおよび25cm口径の屈折式天体望遠鏡4台からなる太陽観測望遠鏡です。

特にDSTは、口径60cmで2mの太陽像投影直径を持ち、太陽観測に特化した高性能な望遠鏡です。また、SMARTは太陽磁場活動の研究に大きく貢献しています。

研究成果

飛騨天文台は、太陽系内天体の光学観測において、国内屈指の成果を上げています。特に、太陽観測においては、その専門性と高性能な観測装置によって、数多くの重要な発見に繋がっています。

公開について

飛騨天文台は国立公園内に位置するため、自然保護の観点から一般公開は年に一度、主に夏季に限定されています。より広範な公開は、花山天文台で行われています。

データ公開

観測データは、岐阜県情報ハイウェイを経由して、SINET3を通じて京都大学に接続され、全国の研究機関で共有されています。また、FMTやSMARTで取得された太陽画像はリアルタイムでウェブ上で公開されており、誰でも閲覧することができます。

アクセス

所在地：岐阜県高山市上宝町蔵柱

関連機関

京都大学
京都大学大学院理学研究科・理学部
京都大学大学院理学研究科附属花山天文台

観測対象

太陽
惑星

外部リンク

* 京都大学大学院理学研究科附属天文台

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