京都大学研究用原子炉

京都大学研究用原子炉（KUR）

京都大学研究用原子炉（KUR）は、日本の京都大学が運営する施設であり、研究、材料照射、放射性同位元素の生産等、さまざまな目的で使用されています。この原子炉は、京都大学複合原子力科学研究所の所在地である大阪府泉南郡熊取町に設置されています。KURは、特に医学分野において中性子捕捉療法のための医療照射も行っており、多岐にわたる研究と教育訓練の場として重要な役割を担っています。

歴史

KURの運転は1964年6月25日に初めて臨界に達したことから始まります。この初臨界達成後、1964年8月には定格出力が1,000kWに達し、その後、1968年7月にはさらに5,000kWに増加しました。これにより、原子炉の実験能力が大幅に向上しました。2006年になると、高濃縮ウラン燃料の使用が終了し、2010年4月には新たに低濃縮ウランを用いた炉心が初臨界に達し、さらに翌月には定格出力を5,000kWに設定しました。

2014年には、新規制基準に基づく適合性審査が行われ、2016年にはその審査を無事に通過しました。その結果、運転再開が認められ、2017年8月から新たな運転が開始されたのです。運転期間は2026年5月までの予定で、今後もさまざまな研究が行われることが期待されています。

仕様

KURは、軽水減速・軽水冷却型のスイミングプールタンク型熱中性子炉として設計されています。熱出力は5,000kWで、使用する燃料は20%低濃縮ウラン・シリサイド (U3Si2-Al)の板状燃料です。炉心は直方体の形状をしており、その寸法は約51cm×約51cm、高さ約61cmです。原子炉の減速材と冷却材に使用されているのはともに軽水であり、制御棒はホウ素入りステンレス鋼が用いられています。

原子炉には各種関連の実験設備も設置されており、重水熱中性子設備や黒鉛設備、実験孔、照射孔、さらには圧気輸送管や水圧輸送管など、多岐にわたる実験を支援するための装置が整っています。これにより、研究者たちは、高度な技術を用いてさまざまな実験を行い、原子力や放射線に関する新たな知見を得ることが可能となっています。

結論

京都大学研究用原子炉は、その多様な機能と高い実験能力により、科学研究や医療分野において極めて重要な役割を果たしています。今後もその運営と利用が続くことで、さまざまな社会的な課題への貢献が期待されます。

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