京都府レッドデータブック

京都府レッドデータブック

京都府における生物多様性の保全を目的とした「京都府レッドデータブック」は、2002年6月に発刊されました。このデータブックには、京都府内で絶滅の危険に晒されている野生生物や、保護が必要な地形、地質、そして重要な自然生態系が詳細に記載されています。単なる野生生物にとどまらず、これらの生物が生息する環境そのものも含まれる点が特長です。

構成

上巻：野生生物編

上巻では、京都府における絶滅危惧種が様々な分類群に分けられ、合計で1596種がリストアップされています。これには、ほ乳類、鳥類、は虫類、両生類、淡水魚類、昆虫類、甲殻類など、多様な生物が含まれています。この情報は、各種の生息状況を踏まえ、絶滅種、絶滅寸前種、絶滅危惧種、準絶滅危惧種、要注目種といったカテゴリに分類されています。

下巻：地形・地質・自然生態系編

下巻には、保護が求められる地形や地質、自然生態系の情報がまとめられており、保護対象とされる地形が176件、自然現象が37件、地域生態系210件がリスト化されています。また、歴史的観点から人と自然の関わりについての考察が記された論文も含まれています。

作成の背景

京都府レッドデータブックの制作は、1999年に行われた調査を基に進められました。この調査には、京都府内で生息する野生生物や地形、地質の専門家78名が関わり、各種の分科会を設けて細密な評価が行われました。特に、修学院離宮の区域や平安神宮の神苑池など、ほとんど調査が行われていなかった地域においては、合同現地調査が実施され、多角的な情報が集められました。

カテゴリーと基準

データブックでは、絶滅のおそれがある種や保護が必要な地形などに対して、多くのカテゴリを設定しています。例えば、地形についてはすでに消えてしまったものや、消失が危惧されるもの、さらには保護が必要とされるものがそれぞれ分類されています。また、地質、地域生態系に関しても同様の分類が行われており、特別な対策が必要なケースも明記されています。

改訂と最新情報

その後、2013年には「京都府レッドリスト2013」が公表され、野生生物のランク付けの見直しが行われました。この結果を受けて、2015年には新たな「京都府レッドデータブック2015」も発刊されました。これにより、最新の状況に基づいた情報が提供され、保護施策の重要性が再認識されています。

まとめ

「京都府レッドデータブック」は、地域の自然環境を守るための重要な資料です。府内での生態系の調査や保護活動に役立つだけでなく、一般市民の理解も深めるために、京都府のホームページや普及版を通じて広く提供されています。環境保護に対する意識が求められる今、私たちにできることを見つけ出すための貴重なリソースと言えるでしょう。

もう一度検索