京都集書院

京都集書院とは

京都集書院は、明治5年（1872年）に福澤諭吉、槇村正直、大黒屋太郎右衛門らの構想によって、京都に設立された日本初の公共図書館です。設立当初は「集書院」とも呼ばれていました。この図書館は、単なる書籍の保管場所ではなく、知識の共有と啓蒙を目的とした施設でした。

設立の背景

明治維新後の日本は、近代化に向けて大きく舵を切っていました。その中で、教育の重要性が認識され、各地で学校設立の動きが活発化します。京都府でも、明治2年（1869年）には64校もの小学校が設立されました。この小学校設立の動きは、集書院の構想にも影響を与えました。

書籍商を営んでいた大黒屋太郎右衛門は、貸本業を府に申請し、それに応える形で、府も図書館開設を模索し始めました。福澤諭吉は、京都の小学校を視察した際に槇村正直と会談し、書籍縦覧結社の設立を話し合ったことが、設立のきっかけとなりました。

槇村正直は、お雇い外国人や丹羽圭介、山本覚馬らの協力を得て、集書院設立プランを作成しました。明治5年5月には「集書会社」として開業し、その様子が新聞に掲載され、広く知られるようになりました。

京都慶應義塾との関係

槇村正直と福澤諭吉の親密な関係は、後の京都慶應義塾設立へとつながりました。京都慶應義塾は、明治7年（1874年）に開校し、京都における教育近代化の動きに大きく貢献しました。また、集書院の設立は、京都府中学校の設立にも影響を与えました。

その後

集書院は、明治9年（1876年）に京都府の管理下となりましたが、明治15年（1882年）に閉鎖されました。しかし、その精神は、明治31年（1898年）に開設された京都府立図書館に引き継がれています。京都府立図書館は、集書院の蔵書の一部を受け継ぎ、府民の知識向上に貢献しました。

まとめ

京都集書院は、日本初の公共図書館として、近代日本の教育と文化の発展に大きな役割を果たしました。福澤諭吉や槇村正直らの先見の明と熱意によって設立されたこの図書館は、短期間で閉鎖されたものの、その精神は京都府立図書館に引き継がれ、今もなお、その影響は続いています。

関連情報

• - 京都府立総合資料館：京都集書院に関する資料が所蔵されています。
• - 参考文献：多田建次著『京都集書院―福沢諭吉と京都人脈』（玉川大学出版部）には、詳しい情報が記載されています。
• - 外部リンク：京都域粋69号、田中一貞初代館長と慶應義塾図書館年報、京都慶應義塾跡碑、京都府立図書館の沿革など、関連する情報を参照してください。

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