人掃令

人掃令についての概説

人掃令（ひとばらいれい）は、安土桃山時代の文禄元年、すなわち1592年に、関白であった豊臣秀次の名のもとに実施された法令です。この法令は、豊臣秀吉が推進する朝鮮出兵に関連して発令されました。特に、文禄・慶長の役に際して、国内の人員をどう活用するかを計画するための重要な一手でありました。

法令の目的と内容

人掃令の主な目的は、各地域の人口や職業を把握することにより、出兵時の兵力の確保と人夫の調査を行うことでした。このため、全国の戸口調査が義務付けられ、一つの村単位での家数、人数、男女の比率、老若の層、さらには職業といった詳細が記録されることになりました。このように精査されたデータは、出兵に必要な人員を確保するための貴重な資料となったのです。

しかしながら、この法令は単に兵力の確保に留まらず、最終的には兵農分離という社会的変革の一因ともなりました。この現象は、農民から兵士への移行を促進させ、戦争と平時の生活の分業を進める結果をもたらしました。そのため、歴史的には人掃令は、朝鮮出兵のための兵の動員と同時に、兵農分離という制度の確立の流れとも結びついて評価されています。

日付とその背景

人掃令に関する史料として、吉川家文書があります。この文書には1591年の発令が記されています。しかし、近年の研究では、この日付が誤っているのではないかと指摘されています。特に、翌年の1592年に発令されたとの説が広まりつつあります。

実際、1591年には豊臣秀吉自らが出した身分統制令があり、この中にも人掃令と同様の項目が含まれていました。これにより、人掃令発令の意図は、身分の管理を一層強化するためのものであったとも考えられています。

結論

人掃令は、豊臣秀次の手によって、朝鮮出兵に伴う国民の把握を目的とした重要な法令ですが、同時にその後の日本社会における兵農分離を促進する要因ともなりました。歴史学的には、時代背景やその影響を見ることで、当時の日本の社会構造を理解するための重要な鍵となります。

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