人斬り与太 狂犬三兄弟

映画『人斬り与太 狂犬三兄弟』

『人斬り与太 狂犬三兄弟』は、1972年10月25日に公開された日本の映画で、監督を深作欣二が務め、主演を菅原文太が担います。この映画は「人斬り与太シリーズ」の第2作であり、前作『現代やくざ 人斬り与太』の絶大なヒットを受けて制作されました。製作を指揮したのは、当時東映社長を務めていた岡田茂で、彼はすぐに次作を作るよう指示したとのことです。

重要な作品

本作は、菅原文太と深作欣二のコンビによる重要な作品であり、後の『仁義なき戦い』へとつながる作品です。菅原文太が俊藤浩滋プロデューサーに「『現代やくざ 人斬り与太』と『人斬り与太 狂犬三兄弟』を観てください」と頼んだことで、深作が『仁義なき戦い』の監督に起用される運びとなりました。

また、本作では菅原文太と田中邦衛の初めての共演が実現しました。田中は『仁義なき戦い』でのキャラクター設定が反映されており、手持ちカメラでの撮影シーンも見受けられ、本作は『仁義なき戦い』のプロトタイプと位置づけることができます。

映画の創作背景

タイトルの「狂犬三兄弟」は、岡田社長が命名に悩む中、自宅のトイレで考えが行き詰まり、思わず叫んでしまったことで決定したと言われています。このタイトルを聞いた深作も即座に受け入れたという話が伝わっています。さらに、映画製作の際には、実際のヤクザのエピソードが取り入れられたり、現場で生まれたアイデアも存在するなど、即興で生まれたシーンも見逃せません。

あらすじとキャスト

本作のあらすじは、詳細には触れられていませんが、主人公たちが絡むさまざまな人間ドラマが描かれます。主要キャストには、権藤勝男を演じる菅原文太をはじめ、大野正吉役の田中邦衛や、渚まゆみ、今井健二などが名を連ねています。特筆すべきは、渚まゆみがセリフなしで彼女の役を演じる点で、この作品は「女囚さそり」シリーズにも影響を与える要素を含んでいます。

映画制作にあたって、スタッフも多彩で、脚本を手掛けたのは松田寛夫と神波史男です。映像の美しさを支えるために、撮影や照明も一流のスタッフが揃っています。

作品の評価と影響

映画の公開時には、視聴者の反応は分かれていました。男性ファンには好評だったものの、女性観客からは批判的な意見も多く寄せられました。特に、女性を侮蔑するような表現が見られ、観客の中には途中で離れる人もいたとも報告されています。本作は、映画『仁義なき戦い』をはじめとする作品群に影響を与え、その後の日本映画における暴力描写や人間関係の描写に強く影響を与えました。

同時上映

本作は同時上映として『銀蝶流れ者 牝猫博奕』があり、こちらの作品も映画ファンの注目を集めました。

『人斬り与太 狂犬三兄弟』は、ただの続編としてだけでなく、日本映画界における一つの重要なマイルストーンとなっていることは間違いありません。

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