人種差別撤廃委員会

人種差別撤廃委員会 (CERD)

人種差別撤廃委員会（CERD）は、国連の人種差別撤廃条約に基づく独立した人権団体です。この委員会は、国際条約にある各国の人種差別撤廃への取り組みを評価し、監視することで、世界中の人種差別を根絶するための活動を行っています。ここでは、CERDの設立の背景、機能、構成、勧告、および具体的な案件について詳しくご紹介します。

概要

CERDは、国際連合が制定した人種差別撤廃条約（ICERD）により設立され、その根拠は条約の第8条および第14条に示されています。委員会の構成員は、条約加盟国によって選ばれた18名の委員から成り、その任期は4年間です。委員は個人または団体からの人権侵害に関する申告を受け、各国の条約遵守状況を監視します。また、問題が見つかれば勧告や懸念を表明します。興味深いことに、委員が審議を行う際には、当事者国の委員はその審議に参加できないルールとなっています。

名称と独立性

CERDは、国連の人権活動の一環として捉えられがちですが、実際には独立した機関であることが重要なポイントです。国連の名を冠することもありますが、その独立性は条約に明記されており、国連機関の一部とはみなされていません。このため、国際連合の人権高等弁務官事務所（OHCHR）がCERDを紹介する際には、国連の名称を省いています。日本の外務省では「人種差別撤廃委員会」と表記しており、国連の名前を使用しないスタンスを取っています。

勧告の発表

CERDは、国別の勧告を発表し、その管理には特定の番号が付与されます。たとえば、日本に対する勧告は「CERD/C/JPN/CO/番号-番号」となり、関連する報告書は番号で管理されます。たとえば、2014年に日本に発表された勧告は「CERD/C/JPN/CO/7-9」という番号がつけられ、外国人やマイノリティに対する人種差別的な言動やヘイトスピーチの問題を指摘しています。

この勧告では、「委員会は、国内における人種差別的デモや集会が暴力を扇動する可能性があることを懸念する」とし、これらの行動に対する適切な捜査や起訴が行われていない可能性についても言及しています。また、年金制度に関する懸念も表明されており、特定の住民が年金を受け取れない現状について言及されています。2018年には、ヘイトスピーチ対策が「限定的で不十分」といった勧告が行われ、さらなる改善が求められています。

結論

人種差別撤廃委員会は、国際的に人種差別問題に取り組む重要な機関です。各国に対して厳格な監視と的確な勧告を行うことで、より公平で平等な社会を実現するための努力を続けています。人種差別は世界中で深刻な問題であり、CERDの役割は今後ますます重要になることが予想されます。

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