人身売買及び他人の売春からの搾取の禁止に関する条約

人身売買及び他人の売春からの搾取の禁止に関する条約（人身売買禁止条約）

人身売買及び他人の売春からの搾取の禁止に関する条約は、1949年12月2日に国際連合総会で採択された国際人権条約です。この条約は、売春と、それを目的とした人身売買を禁止することを目的としています。1951年7月25日に発効しました。

条約採択の歴史的背景

この条約は、過去の複数の条約を統合する形で制定されました。具体的には、以下の条約が統合されています。

1904年の「醜業ヲ行ハシムル為ノ婦女売取締ニ関スル国際協定」
1910年の「醜業ヲ行ナワシムル為ノ婦女売買禁止ニ関スル国際条約」
1921年の「婦人及児童ノ売買禁止ニ関スル国際条約」
1933年の「成年婦女子の売買禁止に関する国際条約」

これらの条約を統合し、より包括的な条約とすることで、人身売買と性的搾取の問題に効果的に対処することが目指されました。条約の前文には、売春と人身売買が「人の尊厳及び価値に反し、かつ、個人、家族及び社会の福祉をそこなう」ものであるという認識が明記されています。

条約の概要

この条約は、売春と人身売買を禁止するための具体的な措置を定めています。

第1条: 売春を目的とした勧誘や誘引、および売春からの搾取を禁止。
第2条: 売春宿の経営を禁止。
第3条: これらの行為の未遂も禁止。
第5条: 外国人被害者に自国民と同等の権利を保障。
第16条: 売春防止と被害者の更生、社会的補導のための措置を奨励。
第19条: 被害者の送還と保護について規定。
第20条: 求職者、特に女性や児童が売春の危険に晒されないよう、職業紹介事業の監督を義務付け。
第22条: 条約の解釈や適用に関する紛争は、国際司法裁判所に付託されることを規定。

各国の加盟状況

2012年時点で、この条約の加盟国は82カ国、署名国は25カ国です。署名国のうち、アメリカやイギリスを含む13カ国は未だ批准していません。

日本は、戦前に前身となる条約に批准しており、本条約にも1958年4月11日に国会承認を経て加入しました。同年5月1日に加入し、同年7月30日に効力が発生しています。

関連情報

人身売買及び他人の売春からの搾取の禁止に関する条約 (邦訳) - (ミネソタ大学人権図書館)
公益財団法人東京オリンピック・パラリンピック競技大会 組織委員会平成29年度事業計画書 - (資料1-1) 5-6頁、15頁

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